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物語みたいな。
出国458日目。
34ヵ国目ブラジルのレンソイスにいます。
雨期にだけ湖があらわれる、不思議な砂漠。
物語みたいな設定が素敵すぎて、驚く。
セスナでびゅびゅんと上からみる、なんて小洒落たこともしながら。
でもレンソイスで一番良かったのは、やっぱりレンソイスキャンプ。
テントを持って行って、砂漠の湖のほとりでぼんやりと。
ツアーのみんなが帰ってから次の日のツアーのみんながくるまでの、貸し切り、独り占め。
夕日が沈んでから暗くなるまでの時間も、
満天の星空の下の静寂とそんな中での友達との会話も、
徐々に星が消えてそれと入れ違いに昇る朝日も、めっちゃよくて。
自分たち以外には誰もいなくて、
ほんとに絵本の中に迷い込んだかのような時間。
嘘みたいな景色と物語みたいな設定が、非現実感をぐんと後押しして、
でも自分の中からでてくる言葉にはやっぱり隠しきれない現実感が潜んでいて。
現実も非現実も、もう片方のすぐ隣にあるからこそ際立って。
絶対に混ざることのないそれらが両側から打ち寄せる、そんな不思議な感覚。
曖昧な境界線上を歩くように、ゆっくりと。
どちらにも転べないことに気づいて、思い切り。
マーブル模様の景色がまさにそれを表しているような、そんな不思議な時間。
砂漠の層の下の地下水の水位が増すことで砂丘の谷間にその地下水が湧き出るから。
なんて、不思議がきちんと説明できるのも含めて、なんかいいなと思った。
嘘みたいな世界のもつ本当のところと、本当の世界のもつ嘘みたいなところ。
それぞれから湧きでた地下水が、それぞれの砂漠に水を加えるような不思議な世界。
だから嘘も本当も嬉しくて、悲しくて、優しくて、楽しくて。
不思議が溢れるこの世界が、とても好き。
喜怒哀楽が、映える。
出国446日目。
34ヵ国目ブラジルのナタールにいます。
W杯の日本戦を現地で観戦。
ずっと行こうときめていたわけでもないし、
なんならサッカーに詳しいとかそういうのでもなくて。
せっかく南米にいるねんからと、通りがかりのお祭りにふと立ち寄りました、
くらいの感じで参戦したW杯。
日本代表としての結果は予選リーグ敗退で
それはやっぱり悔しかったけど。
でも、やっぱり来てよかったと思った。
W杯ってこんなに興奮したっけっていうくらい、
ずっとどきどきしてたし、お祭りに溺れる感覚ははじめてで。
自分の中から出てくる声援がその場にある熱狂に溶け込んでいく心地よさと、
心地よさとかそんなの関係なく出てくる声援と。
どういう言葉が最適かはわからないけれど、
目の前にひろがる光景が、ここでしか行われていない現場感、
もちろん世の中のすべてがそうなんだけれど、
世界中の注目する90分が行われているその会場にいること自体の興奮はすごくて、
熱狂とか歓喜とか悔しさとか消失感とかが混じる、カラフル。
勝ち負けってのはやっぱりあって、だからこそ嬉しいしだからこそ悔しいし。
いつかは勝ち負けがはっきりするからこそ、そこへの道のりにある喜怒哀楽が、映える。
勝ち負けの無い世界に対する憧れだってもちろんあるけど、
それでもやっぱり、触れ幅のある勝ったり負けたりのこの世界がやっぱり好き。
もっともっと、感情に溺れるくらいが、ちょうどいい。