飛ぶ。咲く。走る。
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言葉をかりるなら。

2013年7月31日   

出国122日目
8カ国目インドのプシュカルにいます。

プシュカルは小さな森の中にある湖を囲んでできた町。
ヒンドゥー教の聖地なので湖にはたくさんのガートがあって。
静かでゆっくりした、それでいてインドの匂いがそっと漂うそんなところ。
目の前を牛が、亀が、リスが、横切る町ってそんなにないと思う。笑

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雨期ってのもあって、滞在中はからっと晴れた日みたいなのはなかったけど、
その曇り空ですらうまくとりこむこの町の空気が僕は好き。

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この町が、インド最後の町。
人も車もいっぱいでクラクションの鳴り止まない人間らしさのあふれるコルカタも、
七夕に願いを込めた短冊をガンガーに流したバラナシも、
これまでの蒸し暑さから一転、涼しい風の通り抜けるラダック地方のレーも、
湖に浮かぶ500ものハウスボートが少し物悲しく見えたシュリナガルも、
湖を囲むガートが特徴の静かで小さな町、ここプシュカルも、
全部楽しかったな。すごい。

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インドにはきっとまた来ると思う。
危なくて汚くてカレーばっかりやけど、それ以上に、面白くて楽しくて魅力的なところ。
きっと言葉を並べて説明できる魅力じゃなくて、
飛び込んで潜ってぱしゃぱしゃ水かけあって、なにこれ楽しい!ってなるそんなところ。

人生観が変わるよ、なんて、そんなことは僕の場合は全然なかったけど、
え?!ほんまに?!みたいな局面はたくさんあって。
それを分析してどうのこうの、みたいなことを言い出せばきりがなくて、はじめはすごくもやもやしていたけど。
でもそれは、プールサイドからの視点でしかなくて。
いつしかのグルメレポーターの言葉をかりるなら「美味しいと食べ慣れているは違うんですよ。」になるのかなと思った。
住み慣れた世界と比べてる暇があれば、その新しい世界にもうどっぷり飛び込んでしまえばいい。

きっとそこで必要な姿勢は、
スナフキンの言葉をかりるなら「この目で見たものはどんなに馬鹿げたものでも信じるよ。」になるし、
さらに笑福亭鶴瓶の言葉をかりるなら「とりあえず、笑とけ笑とけ。」になるんじゃないかな。
飛び込んで信じて笑って、そうやって楽しんで、考えればいい。
こんなにも感情が動かされるこの国は、やっぱり素敵やと思うねんな。

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さていよいよインドもほんとに最後。
今日の夜行バスでデリーにもどって、明日の深夜の飛行機でヨルダンへ。
ほんとはまだまだインドにいたいけど。ここはぐっと踏み込むことに。

「人生とはおもしろいものです。何か一つを手放したら、それよりずっといいものがやってくるものです。」
サミュエル・ジョンソンの言葉をかりるなら、そんなわくわく感。

楽しいときはとりあえず飛んどけ。

2013年7月24日   

出国115日目
8カ国目インドのパンゴン湖にいます。

今日はパンゴン湖沿いにさらに南へぐんぐん。
と、いってもまた6時間かけてレーまで帰らないと行けないので、
あまり遠くに行き過ぎないようにしないと、
なんて心配は全く必要なくて。

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もうただただ走り抜けるにはきれいすぎて。少し走ってはブレーキをかける。

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近づけばどこまでも透明なのに、少し離れると空が映る。なにこれすごい。

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周りには誰もいなくて、気づいたらぼーっとみとれてて。

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こんな道をゆっくりと走る。気持ちいいにきまってる時間。

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楽しいときはとりあえず飛んどけって習った。

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満足感いっぱいの帰り道。6時間短い。

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ふと見えたゴンパ(僧院)に寄り道したり。
なんかこういう建物すごくどきどきするから好き。

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こんな感じの1泊2日のパンゴン湖ツーリング。楽しかった。
帰ってきていろいろ調べているとパンゴン湖は、映画「きっと、うまくいく」のラストシーンにもでてくるみたいで。
映画のラストシーンとかすごいなと思いながら、確かになんかすごくしっくりくる気もした。
吸い込んで、映し出す。響かせて、句点をうつ。
なんとなく、そういうところ。

だから、というわけでもないけど。
宿に帰って、航空券をとって。そろそろインドもでようかなと。
インドまだまだ周りたいけど、ここはぐんと踏み込むことに。

次は一気に中東のヨルダンへ。
未知すぎてわくわくする。フライトは1週間後。
近づけば見えなくなる空の色に思いを馳せるよな、そんな時間。
うん、とりあえず飛んでおこうかな。

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夕日が照らす、東の空から昇る月。

2013年7月23日   

出国114日目
8カ国目インドのパンゴン湖にいます。

パンゴン湖はインドと中国との国境、標高4250mにある湖。
レーからは日帰りや、1泊2日で車をチャーターして行けるみたいで。
車をチャーターっていっても、旅行者がけっこういるから、
各旅行会社に「何月何日に行きます!」みたいな張り紙がしてあったり、
町中を歩いてると「明日行きませんか?」みたいに声かけられたりもするねんけど。

どうやっていくか迷った結果、カルドゥン・ラへいった時のバイクのわくわく感がすごかったのと、
バイクでもだいたい6時間くらいで行けるよってことだったので、今回もレンタルバイクで向かうことに。
160kmくらいの峠道みたい、どきどき。

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景色も天気も、相変わらずよくて。

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道は半分くらいは舗装されてるけど、
あとは砂利道、山道、川みたいなところをびゅびゅんと。

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途中5000m程度の峠も越えながら。

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ほんまに気持ちいいなー景色きれーやなーと思いながら、
何もないな誰もいないな快適なスピードで、みたいなかんじで口ずさんでると、
急に目の前に川が現れて、まー、ぼーっとしてて気づかへんただけやけど、
気づいたときにはもうこけていて。

両腕両膝から血がでてたから、とりあえず洗わなあかんなーって思って、
川で右腕洗ったあと左腕洗ってたら、右腕からまた血がでてて、もうっ!て思いながらまた洗って、
その後両膝洗ってたら気付いたら両腕からまた血がでてて、またもうっ!ってなって、
あー手も足も出ないってこういうことかー、って思って、
まー血は手からも足からもでてるねんけどなー、って思って。
…要はそんなことを考えられるくらい体もバイクも無事でよかったってお話。

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で、まーそうはいっても痛いもんは痛いからすこし休憩してると、
近くに車が止まって、オーストラリアからきた男女7人組で、
なにこれただただうらやましいやつやん、と思ってると、声をかけてくれて。
「どうしたの?」
「ちょっとバイクでこけちゃいました。」
「だいじょうぶ?薬とかもってる?」
「持ってないです、、とりあえず川で洗いました。」
「ちょっとまってね、誰か薬もってない?貸してあげて。ちょっとそこ座って。」
「すいません、ありがとうございます。」
「君もパンゴン湖いくの?私たちもこれから行くよー。ウイスキーとか飲める?いっぱい持ってきたから後で飲もうよ。」
「ウイスキー大好きです。わーありがとうございます。」
みたいなやりとり。

なんか痛みとかそんなんどうでもよくなって。
すごいなって思った。ちょっとだけ、こけてよかったのかも、とすら思った。

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そんな優しさのおかげで、どうにか日が沈む前には辿り着けて。
東京から5782km。

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宿っていうかテントも簡単に見つかって。150ルピー。

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パンゴン湖あんまり期待はしてなかってんけど、けっこうきれいでびっくりした。

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満月っていうタイミングもあって、夕日が照らす東の空から昇る月が、また。

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そのまま暗くなるにつれて、月の存在感も際立って。
これで自分で光を放ってないっていうねんから、すごいと思う。

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天気のいい日に景色のいい道を走るそんな楽しい毎日でも、
やっぱりうまくいくことばかりじゃないし、時にはバイクでこけて怪我をするこんな日もあるけど、
でもそんな時だからこそ、際立つ嬉しい光を感じることができたりもして。
そしてそれは往々にして周りにいる誰かのおかげであることばかりで。

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なんていうか、そういう風に誰かの心をそっと照らすことのできるような人になりたいし、
照らされたときに、きちんとその光で輝けるような人でありたいと思った。

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自転車の鍵はダイヤル式にするのがいいと思う。

2013年7月22日   

出国113日目
8カ国目インドのレーにいます。

カルドゥン・ラという世界第二位の高さの峠が町から50kmくらいのところにあるよ、ということで。
レンタルバイクでびゅびゅんとゆくことに。
世界第何位、みたいなのなんかすごいわくわくするから好き。

町を出てぐんぐんのぼる。

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ガードレール短い。守る気あんまりない。笑

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なんでこんなところにこんなものが。

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の、答えはすぐにわかって。落石よくあるみたい。

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景色も天気もめっちゃよいから、めっちゃ気持ちいい。

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みたいな感じで到着。標高5602m!

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標高5602mってこれまでで一番高いとこにいるんじゃないか疑惑で、疑惑というか事実で、
でも5602mってなんかこういきなりすごい大きい数字だされてもよくわからないっていうか頭が痛くなってきて。
だいたいどんくらいねんろーって考えててんけど。

ビルでいうと1800階くらいかーと思って。
なんていうか1800って数字自体がもう大きすぎてわからんっていうか、
世界一高いドバイのビルで162階とかやから、
そんなビルいつ建つねん、っていうか建つことあるんかくらいの感じねんけど。

仮にそんな1800階建てのビルが建ったとして、
そのビルに速度的に世界第三位の東京スカイツリーのエレベータが設置されてたとしても、
最上階までノンストップでいっても9分ちょっとかかる計算になって。

例えば何かの間違いでそんなビルが建って、
さらにとんでもないハプニングが起きてその最上階に僕が住むことになったらみたいなことを考えててんけど。

朝起きて外見たら晴れててきもちいなーって、どこか自転車で遊びにいこかなーってなって
エレベーターで1階まで降りて、
きっと途中とまることとか考えたら15分くらいかかるんやろうけど、
まーでも1800階に住む人間として15分くらいまあまあ穏やかな心で待つとして。
で、いざ外でたら雨が降ってて、え?なんで?って少し考えて、
そっかー1800階やから雲の上なん忘れてたーってなって、
傘とりにもどって、また地上まで降りるのに往復30分くらいかかって、
で、自転車に乗ろうとしたときに万が一自転車の鍵を忘れてようもんなら、
また往復30分かかるから、結局1時間くらい無駄にして、
っていうかエレベーターに乗ってる時間で考えるとその日だけで90分にもなって、
飛行機で東京から北海道いけるやんなにそれ、ってなるのが怖いから、
傘は1階に置くようにして、自転車の鍵はダイヤル式にするのがいいと思う。

みたいなどうでもいいことをいくら考えても、頭痛は全くなおる気配がないので、
きっとこれが高山病かってことで、バイクでびゅびゅんと90分かけて下山して、
あれこれやったら1800階住んで忘れ物できるやんってなりながら町について、
あれ僕何考えてるんやろ、ってなったから、
人は高いところに行くと地に足つけた思考ができなくなるねんなと思った。

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素敵なものは素敵なものってことで。

2013年7月18日   

出国109日目
8カ国目インドのレーにいます。

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レーは北インドのラダック地方の主要都市。
かつてはシルクロードの中継点で、標高は約3650m。
陸路で来れるのは6-10月だけで、その他は峠が雪で封鎖される。
行政的にはインドのカシミール州に属するが地形的にも文化的にもチベット世界の一部。

ってバンコクでゲットした地球の歩き方に書いてあるのを今はじめて読んでるねんけど。
すごくいいところ、って噂はあちらこちらから聞いていて。

レーの町自体はとてもちいさくて、30分もあればぐるりと一周できて。
あとは小高い丘にある宮殿とかゴンパ(僧院)とかをまわるくらい。
で、すこし離れたところに峠とか湖とか渓谷とかがあって、
ゆっくりもできるし、わいわいと郊外にも繰り出せるし、この程よい感じがとても好き。

でもひとつ注意しないといけないことがあって、
国境近くの場所であるということもあって、郊外へ行く場合にはInner Line Permitという許可証を取得する必要があって。
いろいろ調べてみると、
①旅行会社を通して簡単に取得可能
②申請は2人以上でしかできない
ってことみたいで。

②については一旦見て見ぬふりしながら、いくつかの旅行会社に費用とか必要なものとかを聞いてまわっててんけど。
どの旅行会社も、あなた一人なの?誰か他に友達いないの?と簡単に刺してくるからびっくりする。
せっかくこっちが見て見ぬふりしてるのに。

でもそんななか全く人数について聞いてこない旅行会社があって。
あれ?ってなって。
見て見ぬふりを認めてくれるの?ってなって。
でも僕もほらけっこう大人やから、そんなはずないのは知ってるから、
念のため最後に、
「でも、これって2人以上じゃないと申請できないんですよね?」と聞いてみると。
担当のお兄さんがにこりと笑いながら、
「それはこっちの問題。あなた達申請者の問題じゃないよ。で、いつまでに必要なの?」と。

なんかすごいなと思って。
いろいろな人の関わりの中で作られるものには、
「誰が受け持つか」の捉え方が決まっていないことってたくさんあって。
そこを当たり前のように引き受ける姿勢が、すごくかっこよくみえた。
きっとそれは道徳とか優しさとかではなくて、どちらかというとプライドや覚悟に近い気がして、
それを笑顔で包み込む様も含めて、ほんとに素敵だと思った。

と、いうわけで無事permitもゲットできたところで、レーの町をぶらぶらと。

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小高い丘をのぼれば宮殿があったり僧院があったり、なによりも町全体を眺めれるのがすごくいい。

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特にすることもないから、そのまま丘のうえでウクレレ弾いたり写真撮ったりぼーっとしたりの素敵時間。

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この旗はタルチョやルンタとよばれるもので仏法が風に乗って拡がるように願いが込められているそう。
ただただ綺麗。青空ともこの町ともすごくあっていて、どきどきする。

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この町は、人も風景も、どこか覚悟が見え隠れしていて、すごく気になる。
それが宗教によるものなのか、気候によるものなのか、ただの僕の勘違いなのかはわからないけど。

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気がつけば夕方で。そのまま夕日をみて、月をみて、また町へ。
風にはためく5色の旗が、旅行会社のお兄さんの笑顔と少し重なって、
まー素敵なものは素敵なものってことでいいか、と、
晩ご飯を何にするか考えながらぼんやりと思った。

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どんなのかは思い出せないけど、きっとそんな感じ。

2013年7月16日   

出国107日目
8カ国目インドのレーにいます。

バラナシからデリーまで夜行列車で13時間。
デリーからマナリーまで夜行バスで14時間。
マナリーからレーまで夜行ジープで20時間。
バラナシから計47時間の怒濤の連続移動でレーまで。

どこでも寝れる僕にとっては夜行列車も夜行バスも宿代浮いたラッキーくらいの感じねんけど、
夜行ジープを使うマナリーからレーの道程のすごさは噂には聞いていて。

今までの移動で一番きつかったとか、
天国と地獄を同時に見れるみたいな話にわくわくはしてたけど、
これがほんとにすごかった。

まずちゃんとした道路を走ってたのはたぶん半分くらいで、
残りのさらに半分は、まあまあ砂利道ということにしておきましょう、くらいの道で、
あとはどれだけ目を凝らして見てもただの山やったしな。

しかもすぐそこに崖があるような、めっちゃせまい道かどうかもよくわからない道で、
減速もせず対向車とすれ違うっていう、ポジティブにも程があるやろくらいの運転で。

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凹凸具合もすごくて車の上にくくりつけてる荷物が落ちるたびに小休憩みたいな感じで。
ただでさえ酔いやすい山道、でこぼこ道って環境に加えて、午前2時出発の寝不足感、
さらに5000m程度の峠を2つも越えますよって、
そらみんな車酔いやら高山病やらで気持ち悪くもなるし、
そんな中20時間ずっとインド音楽が大音量でガンガン流れてる車内はちょっと狂ってたし、
なんか時計仕掛けのオレンジ的な怖さがあって。

ただなにがあれって、なんていうか、
そんな状況にも関わらず僕めっちゃ寝た。10時間くらい寝た。

これ絶対寝れへんし気持ち悪くなったらどうしようと思った5分後には寝てた。

起きる度に景色変わっててめっちゃ綺麗ですごいなーと思いながらぼーっとしてて、
わーでもこの揺れ続いたら気持ち悪くなるなーと思ったその5分後にはまた寝てた。

どこでも寝れる寝れるとは思ってたけど、いよいよほんまにどこでも寝れるようになった。
初めて自転車の補助輪を外して乗れた時のあの感覚。
が、どんなのかは思い出せないけど、きっとそんな感じ。

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と、いうわけで、元気いっぱいでレーに着きました。

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よし、寝よう。

短冊の行方を想像しながら。

2013年7月11日   

出国102日目
8カ国目インドのバラナシにいます。

コルカタから夜行列車で14時間。
ガンジス川沿いのバラナシへ。
ここバラナシは、聖なる川ガンジス川に近く、
とくにこれといった観光場所もない小さな町で、ゆっくりできるいいところ。

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5年前にも、この町に立ち寄っていて、
ガンジス河を眺めたり、朝日を見たり夕日を見たり、ゆっくり過ごしていて。
ただ今は雨期で、なかなか朝日も夕日もみれなくて。
していたことができなかったかわりに、
していなかったことで、なにかできることはないかと考えて。

ガンジス河といえば、沐浴。
せっかくきたから、入っとかないとなーとは、ぼんやり思っていて。
ガンジス河に入った次の日から高熱が出たとか、しばらくバラナシから動けなくなったとか、
そういう話は旅中にいろいろ聞いていたけど。
どういうわけか、聞けば聞くほどに興味がでてしまう。あまのじゃく。
なんとなく朝日のタイミングで、決行することに。

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沐浴といっても、要はガンジス河に頭まで潜るだけなので、
バンジージャンプのような見た目的なインパクトはないけど、
いざ入ろうと覚悟を決めた瞬間に湧き上るどきどき感は、
バンジージャンプの時に感じたそれに近くて。
そらそうやんな、高熱とか腹痛とか下痢とかリスクは確実に背負ってるし。笑

まあでも案ずるよりは生むが易しはインドでも健在みたいで、
不安感はまだまだ消えないけど、それも含めてなんだか清々しくて、よかった。
今のところ元気、だいじょぶ。

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あとはゆっくり過ごしながら、
七夕に短冊をガンジス河に流したり、ラッシーを食べたり。

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プージャーという毎晩行われている礼拝を見たり、線路を渡って対岸へ行ったり。

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5年前と変わらず、ゆっくりとした楽しい日々。

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朝日や夕日は見れなかったけど、よくよく考えると太陽は毎日昇っていて沈んでいて。
そう考えると、実際見える必要はないのかもしれない。
きれいに見えたらもちろん嬉しくて、それだけで心が落ち着いたりもするけれど。
雲に隠れて見えなくても、その雲の向こうでは間違いなく、朝日は昇っているし夕日は沈んでいる。

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実際に目にしたものに影響を受けるのはすごく大切だと思う。
でもそれと同じくらい、今見えてるものの向こう側に想いを馳せるのも素敵なことなんじゃないかなと、
ガンジス河に流した短冊の行方を想像しながら、ふと思った。

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「私のボランティアしてみない。」

2013年7月6日   

出国97日目
8カ国目インドのコルカタにいます。

マザーハウスでのボランティアにはほんとにいろんな人がいるねんけど。
その中に、日本人の60歳くらいのおばあちゃんがいて、
おばあちゃんっていっても、すごく元気で、厳しい人で。
みんながバスで一緒に向かっている中ひとりでスタスタ先を歩くような、
なんていうか、私は私、の頑固さを貫いていて。
リハビリの方法を教えてもらう時も、全部説明されるわけじゃなくて、
一言一言から、それが何を意図してるのかを読み取る必要があって。

普通にボランティアをしているだけじゃあんまり話をすることがなさそうな人ねんけど。
僕はリハビリの方法などを教えてもらう関係で、その人と怒られながらもよく話していて。

そのおばあちゃんが、休憩時間にふと、
「このあと私のボランティアしてみない。」と、
まるで肺の底に溜まっていた空気を全部吐き出すように言い切って。

何をするんだろうとか、どこでするんだろうとか、他に学校とか掛け持ってるのかなとか、
あれ、そういえばこのおばあちゃんはここへ来る前は何してたんやろとか。
突然の問いかけに、次々と浮かぶそんな疑問符を全て追い抜くかのように、
「いいですよ。」と気づけば答えていて。

何をするかわからないままボランティアを終え、その後一緒に施設をでたくらいで、
「メールってよくわからないのよね。」と、おばあちゃん。

どうやらいろいろな人からのメールを確認しないといけないけど、
どうすればメールが確認できるのか、どうすれば返信できるのかがわからないらしく。
それじゃあ、と一緒にインターネットカフェへ入って。

何のメールを使ってますか。
あーたぶん、○○っていうやつだと思うわ。
パスワードって覚えてますか。
あー前になにかメモした気がするわ。
たぶんこれで見れるはずですねー、未読が20件たまってますね。
まー、そんなにきてるの、そうしようかしら、一番上から見せてもらえる?
○○さんて方からですねー。
あらー、早く返さなくっちゃ、もしよければ、私の代わりにメールうってもらえない?
いいですよ、なんて返信しますか?
そうねー、、、

みたいなやりとり。

なんだかすごくほっこりする時間で。

なんていうか、
「私のボランティアしてみない。」
こういう台詞が溢れる世の中って、素敵だと思った。

どんなに強情でも厳しくても強がりでもいいから、
この台詞が言える人が増えればいいと思う。
もっといえば、
どんなに強情で厳しくて強がりな人でも、
この台詞が言えるような、そんな世界になればいい。

困ったなら、頼る。それが当たり前にできて、そして誰かが当たり前にそれに応える。
そんな世の中って、素敵だと思う。ヒーローになりたい人っていっぱいいると思うねんな。

メールの返信が全て終わった後、別れ際に、
「まーいろいろしてくれたけど、なにもあげられないけどね。」と、おばあちゃん。

その言葉が「ありがとう。」だと読み取るのは、簡単すぎる。

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掃いて洗って抱えて歌う。

2013年7月5日   

出国96日目
8カ国目インドのコルカタにいます。

5年ぶりのコルカタは相変わらずの雰囲気で。
大地から砂埃がまいあがるかのように、
人間らしさにまみれているこの町は、
好き嫌いが分かれるかもしれないけど、僕は好き。

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コルカタと言えば、
マザーテレサの活動の中心地だったマザーハウスが有名で。
今でも世界各地からボランティアが集まっているその場所で、
僕は今ボランティアをしています。

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マザーハウスでのボランティアといっても全員が同じ場所に配属される訳ではなく、
カーリガート(死を待つ人の家)をはじめ様々な施設がコルカタにあって、
ボランティア登録時に担当施設の面接みたいなのがあって配属が決まって。
今回僕は、ダイアダンという、身体障害・知的障害を持つ子供が生活する施設でお手伝いをすることに。

朝7時からマザーハウスに集まって朝食を食べて、
そのまま朝の会でシスターの話を聞いて、各々が担当の施設に向かって行く。
そのまま昼過ぎくらいまでボランティアをして、13時過ぎくらいに宿にもどる。

もちろんボランティアといっても、僕にできることなんて限られていて、
施設の掃除、シーツや洋服の洗濯、子供たちのリハビリや食事のお手伝い、を繰り返す毎日。
こういうところに来るたびに、何か必殺技が欲しいと思うけれど。
でももちろん、そんなものはなくて、だからただただ、掃いて洗って抱えて歌う、を繰り返す毎日。

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思うことも感じることも考えることもたくさんあるけど、
まだまだふわふわしすぎていて、表現するのが難しくて。
もう少しポケットに入れて持ち歩いていようと思う。
インドをでるころにそっと言葉にできるとよいな。

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毎日マザーハウスまで30分の道のりを歩きながら、
あーこういう生活もあるのかと、なんだか物語を読んでいるような錯覚に陥ることがあって。

きっとそれは、
先週までフィリピンの語学学校でリスニング授業を受けていた時間に、
今週はコルカタの施設で洗濯やリハビリのお手伝いを開始していて、
来週にはガンジス川沿いでぼーっとしている、そんな線上にいるからで。

なんていうか、パラパラとページをめくるように進む日常は、
いろんな色や文字列が混ざり合って、あまりに見慣れなくて。
ひとつひとつが際立つほど、どれも嘘っぽく見えてしまって。

きっと僕は今振り回されていて、
飛ばされないように必死で足元に力を込めて歩いている。
そんな感じなんだと思う。

もちろん、
その足元に広がるのはコルカタの喧噪。
ほんと、ここは、
人間らしさがあふれております。

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打ち上げて吹き消すような、そんな時間。

2013年7月1日   

出国91日目
8カ国目インドのコルカタにいます。
4週間の語学留学が終わり、インドからまた旅を再開。
5年ぶりのコルカタは相変わらずの雰囲気で。今回はマザーハウスで、、、

の、その前に。
この4週間のことを少し。
フィリピンの語学学校に通っていました、っていうお話。

世界一周をはじめて2ヶ月で、自分の英語力のなさを痛感して、
少しでも話せるように聞けるようにと、語学学校を探したのがはじまりのはじまり。
そもそもmilkを頼んでbeerがでてくるくらいの英語力でよく2ヶ月頑張ったと思う。
LとRの発音どうこうどころのさわぎじゃないしな。笑

もちろん旅を中断することに躊躇いがなかったわけではないけれど、
このままじゃいけないことに気づきながら何もしないのはモテない気がして、
入学を申し込んだのが5週間前。

4週間前の日曜日、空港ピックアップでバッチメイトと出会い、
まあこの時は同じタイミングで入学した友達のことを、
バッチメイトと呼ぶことすら知らんかったわけやけど。
オリエンテーションを受けてテストを受けて、ショッピングモールへ買い出しに行って。
視線と会話で距離を測る探り合いは、それはそれで心地よく懐かしく、くすぐったかった。

3週間前にはバッチメイト以外とも話すようになって。
きっかけはひとりひとり違うねんけど、初めての会話特有のあの空気は、
どれも期待感と不安感にあふれていて、お互いの表面をコツンとぶつけるあの感じは、
乾杯するときのような音がして、とても好き。今思い出してもすごくいい。

2週間前にはさらにさらに楽しくなって。
あと2週間で帰ることを見てみぬふりするくらいには、
英語にも友達にも夢中になっていて。

1週間前からずっと感じてた違和感が、
あーこれ僕帰るの寂しいだけやなって気づいたのは2日前。

寂しい寂しいと口にする1日前。

そして6月28日。
カウントダウンは0になって。
かといって、花火が打ち上ってHappyNewYearがくるわけでも、
HappyBairthDayとともにロウソクを吹き消す誰かがいるわけでもなく。

そんな最後の金曜日はみんなで飲みに行くことに。
表面が触れ合う以上の音がする乾杯の心地よさにはしゃぎながら、
ほんとに恵まれた環境で過ごしていたなと再確認。
なんとなくそれは、打ち上げて吹き消すような、そんな時間だったと思う。
HappyMeetYou。めっちゃ楽しかったな。

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ところで英語力はどうなん?と聞かれれば
めっちゃ話せるようになった聞けるようになった!なんてそんな夢みたいな話はなくて。
それでも、今いる場所と行きたい場所を確認できて、そこに橋を渡す近い将来を夢みれるよにはなれたし、
そっちの意味でも十分に意味ある1ヶ月やったと思う。

でもほんと。
朝から夜まで、どこかの教室に誰かがいるってのはすごく嬉しくて。
週末遊びに行くのはもちろん、なんでもない繰り返しの平日もすごく心地よくて。
授業の休み時間にすれ違い様にかわすひとことも、
自習が終わって部屋に帰る時にはなす5分間も、
みんなでわいわいセブンイレブン前で集まって飲んだあの1時間も
ほんとにほんとに楽しかった。

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もっともっとここにいたいな、と考えないわけもなくて、
でもそんなときふと思い出す言葉があって。

「住み馴れてしまえば、ちょうど冬の寝床のように自分の体温のぬくもりが江戸という寝床に伝わってしまう。
そうなれば住やすくはあるが、物を考えなくなる。寝床は冷ややかなほうがいい。」
司馬遼太郎/峠

主人公の河井継之助が、どうして旅を続けるのかと聞かれた時のその返答。
僕はすごく自分に甘くて、
冷ややかなほうがいい。なんて全く思えなくて。
でもだからそういう弱さや甘さの分だけ余計に、
冷ややかなほうがいい。そんな風に思っていて。
だから僕は旅を始めて、だから僕は旅を続ける。

まあでも、やっぱり、寂しい。
バイバイは、慣れない。

もっと話したかったし。
もっとちゃんとバイバイしたかったし。
最後ってわかってたのにさらりと挨拶してしまったなとか
なんで言おうと思ってたことが言えへんたんやろとか、思うことはいろいろあって。

ただほんとこれだけは伝えたいのは、

みんなほんとにありがとう!
ほんとにみんなのおかげで楽しい1ヶ月やった!!
また会おう飲もう遊ぼう!!!

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ロウソクを吹き消した後にはじまる拍手のような、
打ち上った花火のあとにもれる感嘆の吐息のような、
そんな再会ができるとよいな。

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