飛ぶ。咲く。走る。
Show MenuHide Menu

Archives

2013年9月
« 8月   10月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ショートケーキの苺を。

2013年9月29日   

出国182日目。
19カ国目スペインのバルセロナにいます。

IMG_7558

ショートケーキの苺を最後まで残していたのはいつまでやったっけな。
と、いつかの記憶を掘り起こす。
「そんなに最後まで残してる人初めて見た。」
そんな台詞を覚えているから、少なくとも大学2年生まではそうだったんだと思う。

最後に楽しみをとっておいた方がより長く楽しめるから、そんな理由ではなく、
なんとなく、そういうもんだと思っていたし、
苺の乗っていないショートケーキ、っていうのがなんだか違うような気がしていた。

じゃあどうして最後まで苺を残さなくなったのかというと、
いつ死ぬかわからないんだから楽しいことを優先しないと、そんな理由ではなく、
なんとなく、最後まで残されている苺、っていうのがなんだか違うような気がしたからで。

苺の乗っていないショートケーキ、も、
苺だけ残っているショートケーキ、も、なんとなく違和感があって。
だからその両方にならないように、ばれないようにこっそり苺を食べていた。

と、いうわけで。
最後まで残されてる苺じゃないけれど、
最終日にようやくこっそり行ってきました、サグラダファミリア。どん。

IMG_7553

めっちゃよかった。

IMG_7743

IMG_7674

IMG_7706

IMG_7666

当たり前のように、当たり前じゃない設計がされていて。

IMG_7631

IMG_7719

まだ完成していないっていうのも含めてすごくどきどきした。

IMG_7774

曲線の建物を、直線の機械が組み立てていて。

IMG_7632

夜は夜でかっこよすぎる雰囲気。モテそうなにおいがぷんぷんする。

IMG_7442

バルセロナ、すごい。
サグラダファミリアもグエル公園もほんとによかったし、
ガウディの手がけた作品が町中のいろいろなところにあるこの町はほんとに楽しい。

IMG_8027

週末だけ行われる噴水ショー。
遊園地にいるような感覚が町中で普通に味わえるのっていいなと思う。

IMG_7350

曲線の建物が突然現れる、のはやっぱりガウディの仕業。

IMG_8045

こんな風に、町中のいろいろなところに違和感が潜んでいて。
でも、その違和感までもまるっと飲み込んでいるこの町は、やっぱり素敵だと思う。

IMG_7153

淡々と組み立てる。1+1で2を作る。そういうすごさはやっぱりあるんだけど、
振り返らせてやろうと虎視眈々と狙いすます。そういう企みが、覚悟が、僕はとても好き。

IMG_7074

楽しかったなバルセロナ。
友達に会って、おいしいご飯を食べて、ワインもビールも飲んで、行きたい場所に行って。
たくさん贅沢したヨーロッパも、この町でおしまい。

あまりに刺激的な町で、句点としては違和感があるけど、
でもなんとなく最後がこの町でよかったなと思った。

IMG_8089

違和感を避ける必要なんて、なかったのかもしれない。

くるみ。

2013年9月27日   

出国180日目。
19カ国目スペインのバルセロナにいます。

IMG_7792

まだ小学校にも入る前、家の周りの空き地や山でよく遊んでいた。
バッタを追いかけたり、蝶々をつかまえたり、秘密基地をつくったりしていて。

当たり前のその遊びが当たり前じゃなくなりだしたのがいつからかもわからないくらい、
気がつけば家の周りの空き地には新しい家が次々と建てられていった。

当時その変化に対して、悲しいとか悔しい、みたいな感情を抱くことはなかったけれど、
今思い返すと、やっぱり少し悲しいかな、と思う。
理由はきっと、いつも通りのないものねだりな気はするけれど。

IMG_7134

なんていうか、今、自分のなかの根底にある基準っていうか、
ドキドキボタンとかワクワクメーターみたいなそういうスイッチにあたるものは、その当時に作らた気がするし、
草むらの中に虫取り網を持って駆け込みながら、落ちている枝で秘密基地の囲いを作りながら、あの頃の僕は育っていて、
その原風景のようなものがなくなるのは、引っ越しの準備が終わったあとの部屋に広がる空気のような切なさがあって。

IMG_7222

じゃあ何も変わらないのがよかったのかって聞かれると、それはそれで、と答えに詰まる、
やっぱり予想通りのないものねだりではあるねんけど。

今以上をいつも欲しがるくせに、変わらない愛を求めて歌う、
そんな感じなんかな、ねえ、くるみ。

みたいなことを考えながら、グエル公園を歩いていた。

IMG_7890

カラフルなタイルで彩られたこの公園は、ディズニーシーのマーメイドラグーンのモデルでもある、そんな素敵なところ。

IMG_7981

色や形のどきどき、だけでなくて。
自然を愛するガウディは、この公園を作る時も、自然をモチーフに設計するだけでなく、
できるだけその時掘り出した石を材料として使い、木々を切らずにすむように階段の位置をずらして作った。
だから公園内の通路も、効率的とはいえない作りで、でも、それがすごく心地よくて。

IMG_8014

「芸術におけるすべての回答は、偉大なる自然の中にすべて出ています。
ただ私たちは、その偉大な教科書を、紐解いていくだけなのです。」
その言葉通り、ガウディは自然の中にこそ正しい形があると考えていて、
だから彼の作品の中では柱は木々のように広がり、螺旋階段は巻貝のように組み立てられ、トカゲが公園の真ん中にどんと居座る。

IMG_7915

すごいなと思う。
自分の中に確固たる基準を持っていて、そこから真っすぐに行動へつなげるってなかなかできることじゃないと思うし、
他人にそれがどう映ろうが関係ないよ、と笑い飛ばすことのできる強さに、僕はすごく憧れる。

IMG_7237

実際、このグエル公園も、もともとは自然と芸術に囲まれて暮らせる分譲住宅として建造されていたのが、ガウディ本人とグエル伯爵の2人以外に買い手がつかず、グエル伯爵の没後に、市の公園として寄付された。
そんな経緯があって。

IMG_7797

その時代に僕が生きていたとして、じゃあその募集に手を挙げますかと聞かれれば、

少し悩んでしまうけれど、それでもやっぱり住みたいと思う。

効率とか理論じゃなくて、自身の根底にあるものを大切にしたい。
それくらい不確定な明日のほうが、僕はやっぱりドキドキするし、
きっとそれは、あてもなく虫取り網もって山に向かう、そんなあの頃があったからなんだと思う。

IMG_7991

希望の数だけ失望は増える、それでも明日に胸は震える、
そんな感じなんかな、ねえ、くるみ。

IMG_7961

何色の屋根を選ぶのだろう。

2013年9月24日   

出国177日目。
18カ国目ポルトガルのリスボンにいます。

IMG_6957

スペインから1泊2日の小旅行くらいの感覚でリスボンへ。
荷物を置いてまず目指したのは、ロカ岬。

IMG_6883

ユーラシア大陸最西端の岬で、
ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスの叙事詩の一節
「ここに地終わり海始まる(Onde a terra acaba e o mar começa)」を刻んだ石碑が立っている。

IMG_6904

天気はよくなかったけど、最西端をかみしめながら、ゆるりと。
こういう、大陸最西端とか、そういう端っこがすごい魅力的に感じるのはきっと、
お手軽な達成感が心地よいからなんやろなと思う。
オセロの端っことったらその間もパタパタと自分の色になりました、みたいな。
もちろん錯覚やねんけど、それでも僕はこれからもこの魅力を追いかけていくと思う。笑

そのあと町をぶらぶらと。

IMG_7020

7つの坂の町、と呼ばれるくらい、リスボンは坂道が多くて大変やけど、
その高低差までお洒落に飲み込んでいる感じが、なんだか素敵な、そんな町。

IMG_6976

IMG_6969

IMG_6943

一両編成の路面電車かわいらしい。

IMG_6953

エッグタルトが有名みたい。美味しい。

IMG_6968

目の前に広がるオレンジ色の町並みを見ながら、ふと、祖母が自分の家のオレンジ色の屋根をすごく気に入っているのを思い出した。
誰かに自分の家の行き方を説明する時、きまって最後に、
「そこの角を曲がって見えるオレンジ色の屋根の家がうちです。」と締めくくっていて。
それを聞きながら子供ながらに祖母はこの屋根が大好きなんやろなと感じていた。

きっと祖母に自分の町を画用紙に描かせたら、きっとオレンジの屋根から描くと思うし、
なんていうかそれはすごく素敵な絵の描き方な気がする。

IMG_6989

パタパタと自分の色を増やしていくよな勝負事、それはそれでどきどきするんだろうけど、
画用紙の真ん中に自分の好きな色をどんと落として、そこから町を描いていく、
その筆を走らせるどきどきには、きっとかなわないんだろうな、と思う。

IMG_6856

僕なら何色の屋根を選ぶのだろう、と少し考えた。
勝ち負けでなく好き嫌いで筆を走らせる、そんな描き方ができるなら何色でも、
そんな曖昧な答えしかまだだせないけど。
どきどきできるよな色を探しに、もう少し端っこまで、歩いていこうかな。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

蹴る、一歩目。

2013年9月21日   

出国174日目。巡礼最終日。
17カ国目スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラにいます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

歩く。
地面を蹴って進む。
左足に力を込めて地面を後ろに蹴る反動で、右足を前に出す。
そのタイミングで体重を右足に移し、今度は右足で地面を蹴り、左足を前に。

この地面を蹴る感覚の中で、一番好きなのは、100m走のときの一歩目のそれ。
どきどきしながら、スタートの合図に耳をすませる。
静かな数秒感のあとの銃声と共に、蹴る、一歩目。

なんてことを考えて、これスタートから何歩目なんやろと思いながら歩いたりしてた。笑

巡礼4日目はログローニョからナヘラまで29kmを歩いたあと、バスでナヘラからブルゴスまで。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

IMG_6334

IMG_6328

大聖堂特有のあのぴりりとした緊張感、僕はやっぱり好きやな。

IMG_6450

IMG_6435

IMG_6444

巡礼5日目はブルゴスからメリデまで電車とタクシーを乗り継いで、びゅびゅんと。
この日だけで400kmくらい進んだんじゃないかな笑。

IMG_6491

IMG_6479

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

巡礼6日目はメリデからサンタイレーネまで29kmをてくてくと。

IMG_6520

IMG_6517

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして巡礼最終日の今日、サンタイレーネからサンティアゴデコンポステーラまで23km。

IMG_6591

IMG_6623

IMG_6828

そして、ついに、ゴール!!

IMG_6680

アメリカ横断をした時にセドナで買ったお揃いのTシャツ。笑
100km以上歩いたので、巡礼証明書も貰って、ぱしゃり。

IMG_6710

証明書と一緒にもってるのは、巡礼手帳(クレデンシャル)というもので、泊まった宿や、立ち寄ったカフェなどに置いてあるスタンプを押していく。これが結構楽しい。

IMG_6602

うん、やっぱり嬉しいな、ゴール。
今回の巡礼は1週間だけで、途中バスも電車も使う、お手軽巡礼やってんけど、
それでも、嬉しかったし、ゴールの大聖堂見たときには、すごい感動した。

巡礼路800kmを全部歩くのには40日くらいかかって、
蓄積される疲労を抱えながら毎日この道を歩くのってすごいと思うし、
でもやっぱりいつかは全部歩きたいなと思う。

IMG_6338

ゴールの大聖堂にある十字架には、他の教会でも見られるα(始まりの意味をもつ)とΩ(終わりの意味をもつ)の文字が通常の位置と逆に彫り込まれていて、
巡礼の終わりは、新しい人生の始まり、という、サンティアゴ巡礼の象徴的な意味をもっている、とのこと。

IMG_6850

なんかいいなと思った。
歩き続けて来てゴールした最後の一歩が、これから歩いて行く次のゴールへの一歩目。
ありきたりな言葉かもしれないけど、それでもやっぱり、救われる言葉だと思う。

今回巡礼を通して再確認できたのは、道は続いているということ。
きっと、僕達の毎日もそれと同じで。

IMG_6597

ふと、ずっとひっかかっていた一節が消化されていくのを感じた。

「たどりつきたい場所があるわけでもないのに毎日毎日走りつづけてしまう。
そういう人間のなかに走るという行為に対する好悪を断言できるものなどいるだろうか。」
風が強く吹いている/三浦しをん

自分の行動に対して、理由も好悪もわからない、別にそれでもいいんじゃないかな。と今は思う。
続いていく毎日のなかで、いつだって僕達のつま先はゴールに向かっていて。
だから安心して、日々を重ねていけばいい。
地面を蹴り続ければいい。

その中でも、やっぱり僕が好きなのは。
ゴールでもありスタートでもある、喜びと期待感とともに、蹴る、一歩目。
そんな毎日を生きていきたい。

うん、巡礼楽しかったな。

IMG_6320

この日一番感じてたのは。

2013年9月16日   

出国169日目。巡礼開始3日目。
17カ国目スペインのログローニョにいます。

IMG_6221

初日は、サンジャンピエドポーからロンジェスバージェスまでの28km。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ピレーネー山脈を越えるこの道は、当たり前だけどアップダウンが多くてすごく疲れたけど、
初日ならではのわくわく感と、なによりも天気、景色がよかったのもあってすごく楽しくて。

IMG_5947

IMG_5975

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もちろん、ロンジェスの宿に着いた時には明日から歩けるんかなくらいの疲労感で。
でもそんなことよりなにより、いよいよはじまったなーっていう期待感かな、この日一番感じてたのは。

IMG_5866

2日目はロンジェスバージェスからスビリまでの22km。

IMG_6101

前日より高低差もなければ距離も短かったので、疲れを感じながらもなんとか。
初日みたいにすかっと晴れることはなかったけど、それはそれで雰囲気がでてよかった。

IMG_6085

IMG_6070

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで790kmという距離に改めて愕然としたり。

IMG_6045

巡礼カメラマンに写真を撮ってもらったり。

image

いろいろあったけど、続いてる道ってすごいなっていう驚きかな、この日一番感じてたのは。

IMG_5888

3日目の今日はバスでびゅびゅんとログローニョまで。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

40日かけて全行程歩きたい気持ちはあったけど、今回は7日でゴールしないといけないので、早速歩かない1日。
途中牛追い祭りの町パンプローナに立ち寄りながら、夕方くらいにログローニョの宿へ。

IMG_6146

ここログローニョは美食の町とされていて、小道に立ち並ぶバルを何軒かはしごする、なんて洒落たことを。
してみたくなったのにも理由があって。

29歳になりました。そう、誕生日。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

祝ってもらえるのはやっぱり嬉しい。

1240641_500228190072126_591619248_n

どういう一年にしようかなって考えたときに、
こうなりたいなってのは、いっぱいあるけど。
その中でもこの1年は、喜怒哀楽を大切にしたいなって思った。

IMG_5858

ぐるりと世界をまわるこの1年。
これまでにないような感情の動きがきっとあって、
そのなかで感じる喜怒哀楽を全部ばちんと受け止めていきたい。

喜びに逃げ込まず、負けるかもしれないからこそ挑んで、
怒りをごまかさず、そのうえで人を許せる人でありたい。
哀しみは大切に受け止め、かといって過剰に演じず、
楽しい日々に感謝して、忘れず、飾らず、求め続ける。

そんな向き合い方ができるように、なりたいな。

IMG_6233

歩いて進む毎日の中で、
山道をしんどいと思ったり、でもやっぱり景色がきれいでいいなと思ったり。
あれもこれも持ち歩きたいなと思ってわくわく荷物を詰めたり、でもそのリュックの重みをふと疎ましく思ったり。
いろいろあるとは思うけど、
この1年はやっぱり、しっかり歩いて進もうと思う。
ごまかさずに、全行程を、歩いて行こうと思う。
疲れたらふと立ち寄ったその町の小道に立ち並ぶバルを何軒かはしごする、なんて洒落たことを。
してみようかな、そんな29歳の始まりの日。

IMG_6226

世界一周にでて、ひとりになったつもりで、遠くまできたつもりで、
それでも誕生日は友達とすごせて、ワインを飲めて、
宿に戻って、みんなからのメッセージを読んで、うるうるする。

やっぱりひとりにはなれなくて、嬉しい。
そんな感謝かな、この日一番感じてたのは。

IMG_5993

スペインを歩いて横断するよ、ってお話。

2013年9月13日   

出国166日目。
16カ国目フランスのサンジャンピエドポーにいます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

恩田陸さんの「夜のピクニック」という小説に影響されて、お台場から鎌倉まで夜通し歩いたことがある。
ちょうど東京湾花火大会の日で、花火を見終わった23時くらいから歩き始めて、朝の7時くらいに鎌倉のスーパー銭湯に着いた。
めっちゃ疲れたけど、話しながら夜が明けて行くのは楽しかったし、鎌倉まで歩いたという達成感が嬉しかった。2010年の夏。

IMG_0858

歩くのが好きかと聞かれればまあ好きだけど、
走るのも自転車もバイクも車も好きだから、きっと動くのが好き、と言った方がいいかなと思ったけど、
よく考えると同じ場所に留まるのも好きだから、ちょっとなんて言っていいかわからないけど、まあとりあえず、
僕は歩くのが好きだ。

IMG_5956

少し止まると書いて、歩く。
その文字の作り通り、好きなときに止まれるし、
そのくせ気がつけばそこそこの距離を進めている。
歩くって魔法みたいな移動方法だと思う。

旅フェスに行ったときのキャンピングカー展示に影響されて、NYからLAまでキャンピングカーで横断したことがある。
クリスマスをNYで過ごして、グランドキャニオンで初日の出をみて、お正月をラスベガスで過ごした。
運転は疲れたけど、夕日を追いかける毎日は楽しかったし、最終日に地図上で通って来た道を確認した時は嬉しかった。2011年の冬。

387640_202093963218885_225859588_n

横断するのが好きかと聞かれればまあ好きだけど、
縦断するのも好きだから、きっと端から端まで、、、、まあとりあえず、
僕は横断するのが好きだ。

IMG_0166

キャンピングカーのタイヤにペンキを塗っておけば、ほんとに線が引けるのかなとか
なんならキャンプングカーのタイヤがピザを切る丸いやつで、アメリカがピザなら、きれいに切れてたのかなとか、
横断って魔法と組み合わせたくなる移動だと思う。

で、魔法みたいな移動方法に魔法と組み合わせたくなる移動をすることになって、、、
うん、何を言ってるかわからなくなってきたので、
ここまでの756文字に魔法をかけて13文字くらいにまとめると、

スペインを歩いて横断するよ、ってお話。

IMG_5950

「聖地巡礼」というものを初めて聞いたのがいつどこでかは覚えていないけれど、
フランスからピレネー山脈を越えてスペインを東から西まで横断する道を歩くんだよって聞いたときに、
すごくわくわくしたのを覚えてる。
好きなことに好きなこと足したら、もうそれはめっちゃ好きなこと。

道の正式名称は、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。
キリスト教の聖地であるスペイン、ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す道。
毎年10万人程度が巡礼していて、この道は世界遺産にも登録されている。
ちなみに、道が世界遺産に登録されているのはこの巡礼路と紀伊山地の参詣道のふたつだけ。
道には迷わないように黄色い矢印がいっぱいあって、巡礼のシンボルのホタテ貝を身につけて歩く。
巡礼者が出会えば「Buen camino!(よい巡礼を!)」と言葉を交わし、違う歩幅で同じゴールを目指す。

IMG_5910

ぜんぶ素敵。行かない理由がない。
と、いうわけで。

アメリカ横断メンバーで、お洒落にパリで待ち合わせて、
800km先にあるゴールを目指して、巡礼開始。2013年の秋。

IMG_6140

魔法を使ったんじゃないかくらい、楽しみ。

それからそっと、再生ボタンを押せばいい。

2013年9月10日   

出国163日目。
15カ国目ベルギーのブリュッセルにいます。

IMG_5428

今回はベルギーの大学生のうちにカウチサーフィン。
宿泊費が浮くのはもちろん、その国々のいろんな話が聞けるのは楽しい。

小雨降る中、ぶらりと観光開始。
ここブリュッセルは徒歩で観光できるのが素敵。

小便小僧が小僧すぎてびっくりした。めっちゃ小さい。笑

IMG_5380

ワッフル美味しい。チョコ美味しい。

IMG_5436

IMG_5499

町並みおしゃれ。花きれい。

IMG_5654

雨がやんで青空が見えた時の景色にどきっとしたり。

IMG_5418

世界で最も美しい広場のひとつとして考えられているグランプラス広場に心奪われたり。

IMG_5716

昼きれい。夕方きれい。夜きれい。

IMG_5456

IMG_5523

IMG_5588

昼に降っていた小雨の反射演出もあってすごいよかった。

IMG_5620

ぶらぶら歩き始める前は雨やんでほしいなーと思っていたけど、
その小雨の間に見える青空の嬉しさとか、
光が地面に反射する雨の日ならではのきれいさとかに
あー雨も悪くないなーってなって。

IMG_5690

この一連の感情の動きはこれまでにも何回も経験していて、
それでも今回もまた同じような軌道をたどって。
雨も悪くないってことを再確認した今日からも、
雨めんどくさいなーやんでほしいなーと思うことはきっとあって。

あー嫌やな、って思って、やっぱり悪くないなと思う。
きっとそれでひとつなんやと思う。

IMG_5445

ごまかす必要なんて全くなくて、
海に落ちれば、そのまま潜ればいい。
はじめから気づいている必要なんてなくて、
嫌なときはまず、その嫌な気持ちをどんと受けとめればいい。

焦ったところで早送りも巻き戻しもできないから、
どっしりソファーに腰掛ければいい。

IMG_4900

伏線が多いほど、物語は面白いし、
ピンチがないとヒーローショーは盛り上がらない。
日が沈めば星が見えるし、星が消えて朝日が昇る。
梅雨があけるのが楽しみで、冬のあとの春に心躍る。

ソファーに深く腰掛けて、コーヒーでも飲もうかな、
くらいの余裕が持てれば、きっとだいたいうまくいく。

それからそっと、再生ボタンを押せばいい。

IMG_5709

胸を張って見せれる背中に。

2013年9月8日   

出国161日目。
14カ国目オランダのアムステルダムにいます。

IMG_5077

イビザ島の次はどこにいこうかな、アンダルシア地方とか面白そうやな、
みたいなかんじでぽちぽち調べていると、オランダまでのフライトが70€っていうのを見つけて
もう次の瞬間には予約してた。
なんとなく行きたい、って思えば、きっとそれがこたえ。
か、どうかはわからないけど、決める人が自分しかいない自分のことくらいは、
こういう些細な感覚を信じていこうと思う。

と、いうわけで、オランダin。

IMG_5285

今回は初のカウチサーフィン。
カウチサーフィンっていうのは、
世界のみんなでお互い泊まる場所を提供しよう、みたいなサービスで。
自分がこれから行く町に住む誰かに「この期間で泊めてもらえると嬉しいな!」みたいなお願いをして、
予定が合えば泊めてもらえる、そのかわり、だれかが自分の町に来たとき泊めてあげよう、みたいなそんな感じ。

そして、今回泊めてもらうのは62歳のおじいちゃん、Joop。
どん。

image

かっこいい。
駅まで車で迎えに来てくれるという優しさに甘えながら、うちへ。
結局5泊もお世話になって、ご飯もまるっと食べさせてもらって。
一緒にアムステルダムや湖の周りをサイクリングしたり夜中からドライブに行ったり。
すごく楽しい5日間で。

IMG_5084

Joopの自転車は電動自転車ってのもあって僕の前をすいすい走って行って。
その背中を追いかけながら走るのは、なんだかすごく心地よくて。

IMG_4984

もっとはやく進めるように、自転車をこいでこいで。緑をぬけて、湖をこえて。

IMG_5324

IMG_5143

IMG_5291

流れる景色を逃したくないなと、カメラを構えて。牛がどんといて、羊がりんとしてた。

IMG_4976

IMG_4961

IMG_4990

足を動かして、目を見開いて。アムステルダムの町へ。きれい。

IMG_5274

IMG_5036

IMG_5101

夜はワインを飲みながらInto the wildをみたり、音楽を聴いたりしながら、いろいろ話して。
僕の倍以上の人生を歩いているJoopとの会話はとても面白くて、心地よくて。

IMG_4957

あれ、この感じ前にもあったなと思ったら、昼のサイクリング。
なんていうか、自転車の背中をおいかけるよな、そんな会話ができるのは、
やっぱりそれだけ先を走ってるからなんやろなと思った。

IMG_5271

僕はもうすぐ29歳になって、
今の僕は特になにをもっているわけでも、なにを成し遂げた訳でもないけれど、
ひとつだけ胸を張っていいとしたら、29年間生きたということなんじゃないかなと思う。

IMG_5201

日に日に未熟であることを気づかされるよな毎日やけど、
それでも、それだからこそ、生きていて。
必死で何かを頑張った日も、何もせずだらだら過ごした日も、1日は1日で。
その無機質さに、急かされながら救われながら、気がつけば10000回以上積み重ねてきた。

IMG_5294

もちろんまだまだこれからで、このまま終わらせる気もないけど、
日々を積み重ねることのできる、感謝と誇りは、きちんと噛み締めていこうと思った。

IMG_5348

みたいなことを考えさせられる背中って、やっぱりすごいと思う、Joop。
まだまだそんな背中になれるのは先だけど、いつかはきっと。

IMG_5133

別れ際に駅で、
今度は子供連れてくるよ、と言ったら、
お前は俺に似てるから結婚できないよ、と返された。

楽しみにしておいてと、笑ってバックパックを背負って、じゃあねと手を振る。
楽しみにしているよとJoopがどんと僕の背中を叩き、その振動をバックパック越しに受けて、背筋が伸びる。

IMG_5218

いつの日か、胸を張って見せれる背中に。
Joopにも、子供にも。
そのために、今は。

もっとはやく進めるように流れる景色を逃さないように、足を動かして目を見開く。
きっとそれがこたえ。
決めるのは、僕だ。

IMG_5262

今回は全部。

2013年9月4日   

出国157日目。
13カ国目スペインのイビザ島にいます。

IMG_4859

夜のイメージが強いイビザ島やけど、
昼はどんな感じなのかなと、びゅびゅんと。

IMG_4535

これが思ってたより楽しくて。

IMG_4764

緑がわーってあって、
その向こうに青空がわーって広がってて、
その中をわーって進んでく。

IMG_4892

山も空も海もきれい。

IMG_4847

IMG_4815

IMG_4699

家も壁も車もおしゃれ。

IMG_4852

IMG_4878

IMG_4583

夕方には世界一夕日がきれいに見えるカフェとして有名なCafe Del Marへ。

IMG_4916

このカフェは夕日の時間になるとDJがその日その夕日にあった曲を、
ばっちりのタイミングで流してくれるっていう、
モテそうすぎるカフェで。
ゆるりと夕日を。きれい。すてき。

IMG_4576

うん、イビザ島めっちゃよい。
昼も夕方も夜も楽しくて、お酒も音楽もいっぱいあって。
ほんとによいとこ。

IMG_4787

山道を原付で走っていて思い出したのは、
大学時代に友達と二人で黒部ダムを目指した原チャ旅。

黒部ダムにどうしても行きたくて友達に
「黒部ダム行きたくない?原チャで行かへん?」と誘ったら、
「いいよー。俺、黒部さんって女の子のこと好きやったけどうまくいかへんかってん。」という返事。
「おっけー、じゃあ決定な。」と、後半は聞こえていないふりをした。

黒部ダムまで400kmみたいで、
とりあえず1日で帰ってくるのはきびしそうってことで、テントと寝袋をもって京都をスタート。
京都、滋賀をぬけて、まずは岐阜の養老の滝へ。
滝きもちいーってなって、流しそうめんを食べて、引き続き黒部ダムを目指す。

緑がわーってあって、
その向こうに青空がわーって広がってて、
その中をわーって進んでく。

めっちゃ気持ちよくて。
でも、あたりまえやけど、原チャリのスピード、しかも信号のある下道じゃ思うように進まなくて。
だんだん日が沈んできたなーってなったところで、下呂温泉の看板がみえたので、
今日は温泉でゆっくり疲れをとろうってことに。

思ったより疲れたなーってなって、黒部ダムまであとどれくらいやろーって調べたら、
あと200kmとかそんなくらいで。
え、ってなって。まだ半分やん、ってなって。
いや、1日走って片道の半分ってことは、全部で4日かかるってことやんってなって。
夜ご飯をたべながら友達と出した結論は、
「明日、京都帰ろう。」

で、帰りは名古屋経由でびゅびゅんと。
夕方過ぎには京都ついて、居酒屋養老乃瀧でご飯食べて、疲れたからスーパー銭湯いこーってなって、
あれ、この流れ昨日もあったやんってなって、
この2日間何してたんやろってなったそんな週末。なつかしい。

温泉に入りながら友達が、
「あーまた黒部さんに手が届かへんかったなー。」と、ぼそっと。
今回は全部聞こえていないふりをした。

カラフル。

2013年9月2日   

出国155日目。
13カ国目スペインのイビザ島にいます。

IMG_4548

トマト祭が終わって、さて次どこ行こうかなってなって、
どうやらイビザ島に行く人が多いみたいってことで、
僕も僕もとのっかることに。

飛行機高いみたい宿高いみたい、って噂が迷いどころではあったけど、
夜行フェリーで36€でいけるよ宿も20€でアパートシェアできるよ、ってことで。
トマト祭熱の冷めやらぬうちにイビザ島へ。

イビザ島といえば泡パーティが有名で、
クラブで午前5時から泡まみれになってはしゃごう!みたいな、
トマト祭に引き続きただただ楽しいだけの時間が今回の大目的。

と、いうわけで、さっそく。
ご縁があってなんとGUESTとしてFreeで入れてもらえるというラッキー。
もうほんとに感謝しかない。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

会場となるのはamnesiaというクラブ。
泡パーティは毎週水曜と日曜にやってるみたい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

基本的には泡パーティがはじまるまでは普通のクラブで。
朝5時くらいから、いよいよ感をあおる演出。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その後カウントダウンがはじまって、3、2、1、で、どん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これが思っていたよりすごくて、
わいわいはしゃぎながら泡の中で踊るのも束の間、すぐに目の前が真っ白になって。

DSCN1608

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

泡に埋もれるとほんまに息ができひんくなるってのを学んで、
あぶないあぶないってなって、わたわたと泡の外に逃げ出して息を整えて、
でもやっぱりまた泡の中に行きたいーって飛び込んではしゃいで、
でもやっぱりまた溺れそうになって逃げ出す。
の繰り返し笑。楽しい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

泡が終わればホースで水をだーってかけられて。
泡を落としながらも、まだはしゃぐ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

で、まあ楽しくてしょうがないから、
水で泡を落とした後にも、また泡のプールにダイブしたりして、わいわいしてると、
突然、「Go out!!」と怒られる。
え、さっきまであんなに、、って言い返そうとしたところにまた「Go out!!」。
わかったわかった、最後にトイレでこの泡ながして、、って頼もうとしたとことにまた「Go out!!」。

仕方なく泡だらけのまま外に出て、茂みに隠したシーツで暖をとりながら宿へ。
(今思うと、クロークにいれた方がよいかも。
3€で使えるし、茂みに隠すと結構盗られるみたいやし。
ってか茂みにシーツ隠すってなにそのファンタジーな節約方法。笑)

そんな感じの泡パーティ。
トマト祭同様はじまるまではすっごい暇やけど、
はじまってからの楽しさの突き抜ける感じがすごい。
ほんとに楽しかった。また行きたいな。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

赤色は赤ちゃんという言葉があるように出生を意味し、
白色は死装束の色のに使われるように死別を意味する。
そんな話を聞いたことがあって。

先週のトマト祭りで赤に塗れて、昨日の泡パーティーで白に埋もれた僕は、
この一週間で人生を駆け抜けたことになるのかなと、ふと思った。
こんな駆け抜け方ができているなら、本望。

もちろん、赤と白だけじゃなくて、
青い海にはいって泳いだり、緑の芝生の上で走りまわったり、
バレンシアのオレンジジュースの美味しさに驚いたり、イカ墨のパエリアで歯を真っ黒にしたり。
いろいろな色があって。

僕たちはやっぱりカラフルな世界を生きていると思うし、
僕はそれがとても気に入っている。

勢いに任せて突き進む情熱的な赤い日も、冷静な視点から物事を眺める青い日も、
うまくいかない黒い日も、ふと光がさすよな黄色い日も、
なんにも考えない真っ白な日も、恋に落ちてく桃色の日も。

どの色がいいとかではなくて、いろんな色があるのがいい。
混ざったり滲んだりしながら、一色一色映えるのがいい。

「ときには目のくらむほどカラフルなあの世界。
あの極彩色の渦にもどろう。
あそこでみんなといっしょに色まみれになって生きていこう。
たとえそれがなんのためだかわからなくても。」
カラフル/森絵都

うん、色まみれになって生きて行こう。
カラフルな世界の、カラフルな日々を。

IMG_4609