飛ぶ。咲く。走る。
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くるみ。

2013年9月27日

出国180日目。
19カ国目スペインのバルセロナにいます。

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まだ小学校にも入る前、家の周りの空き地や山でよく遊んでいた。
バッタを追いかけたり、蝶々をつかまえたり、秘密基地をつくったりしていて。

当たり前のその遊びが当たり前じゃなくなりだしたのがいつからかもわからないくらい、
気がつけば家の周りの空き地には新しい家が次々と建てられていった。

当時その変化に対して、悲しいとか悔しい、みたいな感情を抱くことはなかったけれど、
今思い返すと、やっぱり少し悲しいかな、と思う。
理由はきっと、いつも通りのないものねだりな気はするけれど。

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なんていうか、今、自分のなかの根底にある基準っていうか、
ドキドキボタンとかワクワクメーターみたいなそういうスイッチにあたるものは、その当時に作らた気がするし、
草むらの中に虫取り網を持って駆け込みながら、落ちている枝で秘密基地の囲いを作りながら、あの頃の僕は育っていて、
その原風景のようなものがなくなるのは、引っ越しの準備が終わったあとの部屋に広がる空気のような切なさがあって。

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じゃあ何も変わらないのがよかったのかって聞かれると、それはそれで、と答えに詰まる、
やっぱり予想通りのないものねだりではあるねんけど。

今以上をいつも欲しがるくせに、変わらない愛を求めて歌う、
そんな感じなんかな、ねえ、くるみ。

みたいなことを考えながら、グエル公園を歩いていた。

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カラフルなタイルで彩られたこの公園は、ディズニーシーのマーメイドラグーンのモデルでもある、そんな素敵なところ。

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色や形のどきどき、だけでなくて。
自然を愛するガウディは、この公園を作る時も、自然をモチーフに設計するだけでなく、
できるだけその時掘り出した石を材料として使い、木々を切らずにすむように階段の位置をずらして作った。
だから公園内の通路も、効率的とはいえない作りで、でも、それがすごく心地よくて。

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「芸術におけるすべての回答は、偉大なる自然の中にすべて出ています。
ただ私たちは、その偉大な教科書を、紐解いていくだけなのです。」
その言葉通り、ガウディは自然の中にこそ正しい形があると考えていて、
だから彼の作品の中では柱は木々のように広がり、螺旋階段は巻貝のように組み立てられ、トカゲが公園の真ん中にどんと居座る。

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すごいなと思う。
自分の中に確固たる基準を持っていて、そこから真っすぐに行動へつなげるってなかなかできることじゃないと思うし、
他人にそれがどう映ろうが関係ないよ、と笑い飛ばすことのできる強さに、僕はすごく憧れる。

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実際、このグエル公園も、もともとは自然と芸術に囲まれて暮らせる分譲住宅として建造されていたのが、ガウディ本人とグエル伯爵の2人以外に買い手がつかず、グエル伯爵の没後に、市の公園として寄付された。
そんな経緯があって。

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その時代に僕が生きていたとして、じゃあその募集に手を挙げますかと聞かれれば、

少し悩んでしまうけれど、それでもやっぱり住みたいと思う。

効率とか理論じゃなくて、自身の根底にあるものを大切にしたい。
それくらい不確定な明日のほうが、僕はやっぱりドキドキするし、
きっとそれは、あてもなく虫取り網もって山に向かう、そんなあの頃があったからなんだと思う。

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希望の数だけ失望は増える、それでも明日に胸は震える、
そんな感じなんかな、ねえ、くるみ。

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