飛ぶ。咲く。走る。
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また僕は僕になっていた。

2013年10月30日   

出国213日目。
22カ国目エチオピアのバハルダールにいます。

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国境の町ゴンダールで一息ついたあと、
タナ湖のそばの小さな町バハルダールへ。

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湖に浮かぶ修道院でわくわくしたり、
ブルーナイルの滝にどきどきしたり、
生肉を食べて生ビールを飲んで楽しくなったり。

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ぐんと胸をつかまれるような、自然があって
ぽんと背中をおされるような、笑顔があって。
そしてそれを当たり前として生きる人の、生活があって。

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ブルーナイルの滝のそばまで近づいたとき、
その水しぶきでまるで滝に落ちたかのようにびしょ濡れになって。

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きっと世界一周でいろいろな国を訪れるのってこんな感じなんじゃないかなと思った。

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どこまでいっても僕は旅行者でしかなくて、
でもなんとか見たくて聞きたくて知りたくて、
近づいて水しぶきをあびて滝の中に入ったかのような錯覚に浸って。
でもやっぱりそのまま山道を歩いて町に着くころには、からりと乾いて、また僕は僕になっている。

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水しぶきの中に虹をみたり、
びしょ濡れになって風邪をひいたりしながら、
勝手に満足したり不平をこぼしたりしては、また次の滝を探す。

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びしょ濡れになって歩く帰り道に思い出したのは小沢健ニさんの言葉。

「それで僕らは、音楽を聴いたり、小説を読んだりするのですが、
それが本当に酔わせるものの場合、その源では、作者はものすごい破壊的なエネルギーというか、
毒のようなものを抱えこんでしまっていると思うのですよ。
それがなんとなく薄まって届いてくるから、甘い香りがするというか。」

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滝の中に飛び込むことができない以上、
源にある毒のようなものを実際に感じることなんてできなくて。

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だからやっぱりどこまでいっても無責任なんだけど、
きっとそれが世界一周が楽しい理由でもあって。

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でもなんとかその水しぶきから少しでも想像したいものがあって、
そこには、虹のような彩りも風邪をひくような苦しみも伴う必要はないんだけど。

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水しぶきの中で目を閉じながら、あちらこちらに空想はひろがって、物語が次々と湧きだして、
色も温度も匂いも世界までも手に入れたそれが、滝のように溢れ出す。

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そのころ、源流にいる僕は、何を抱えているんだろう。
なんて考えながら町についた時には、からりと乾いて、また僕は僕になっていた。

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子供は散らばって点を描く。

2013年10月25日   

出国208日目。
21カ国目スーダンのハルツームにいます。

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何もない町、かどうかすらわからないくらい、
特にどこにいったわけでもないねんけど。
それでも、なんかいいなあ、と思った、そんな町。

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毎週金曜日、広場にみんなで集まって踊って祈る
ジキルダンスというのがあって。

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ばらばらと人が集まって、
ばらばらと始まって、
ばらばらと終わる。

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大人が集まって輪になる中、
子供は散らばって点を描く。

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うん、素敵。

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スーダンは人がいい、そんな話を聞いていて。
確かにそうだと思う。
挨拶をすれば笑顔で答えてくれるし、
なにかにつけてお金を請求してくることもないし。

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でも、少しひっかかるのは。
スーダンは人がいいよっていうみんなの話を聞いたから、
僕もそう思うようになったような気がしていて。

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それは、単純に情報を鵜呑みにしました、ってことではなくて。
この国は人がいい、っていうのを聞いたうえで、その国の人に接する時、
やっぱり笑顔で接するし、そうすると、相手も笑顔で返すんじゃないかなって。
もし他の国でもこういう接し方をしていたら、その国でも笑顔が返ってきたんじゃないかなって。

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情報を集めるなかで、いつのまにか自分の感情まで誰かに作られているんじゃないかと思うことあって。
こういう歴史があって、人口はこのくらいで、こういう交通手段がある。という事実。
ご飯がおいしくて、人が優しくて、宿がすごしやすい。という感情。

もちろん完全にわかれているものではないけど、でもしっかりと線は意識していたいな。
事実はしっかりと知って、感情はじっくりと整理したい。

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すべてをポジティブに捉える必要はないと思うけれど、
先走った情報だけで片側だけの感情をなぞるのは、やっぱり違う。

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完全にフラットの状態で、なんてたどりつけない理想に溺れるわけではなく、
なんていうか、感情のきっかけがある、ということをきちんと意識したうえで、
捉えて感じて考えていきたいなと思った。

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修学旅行の夜みたいな作戦。

2013年10月23日   

出国206日目。
21カ国目スーダンのワディハルファとハルツームの間の砂漠にいます。

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アスワンからフェリーで18時間かけて、お昼前にスーダン側の国境の町ワディハルファへ。
ひさしぶりの、ほんとに何もない感じが、すごくいい。

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ここスーダンでは入国3日以内に滞在登録をする必要があって、
それとは別に町ごとに滞在登録をしないといけない、ということで。
いろいろな町に立寄りたい気持ちはあるけど、時間や手間を考えて、とりあえずいっきに首都のハルツームまで移動することに。

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15時出発のミニバンでガタゴトと進む。
8時間で着くよと言われていた、その8時間後には、まだ半分しか進んでなくて。
あれ。アフリカすごい。

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まあ仕方ないか、朝に着くならいいか、と思っていると、突然停車。
窓の外をみると、パトカーのようなものが停まっていて、警官らしき人と運転手がもめていて。

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どうやら、ここスーダンでは夜行バスは禁止されていて、それを注意をされたらしい。
どうするのかなーと思っていると、再び動き出して、ああどうにかなったのかなと思っていると、砂漠のようなところでまた停車。

なんでも、とりあえず警察をやりすごして、パトカーがどこかに行ったらまたこっそり走り出す作戦みたい。
なにその修学旅行の夜みたいな作戦。笑
うん。アフリカすごい。

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で、30分くらい待って、まあもういいでしょうってことで、走り出した5分後。
パトカーとすれ違う。
もちろん、停車。
その結果。
もう絶対朝まで車動かすなよ、ってめっちゃ怒られたから、今日はここで野宿だよ、と。
なるほど。アフリカすごい。

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そんなスーダン初日。
思い通りに進んでいないのにこんなにわくわくするなんて。
いや、ほんとに。アフリカすごい。

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空を飛ぶか、炎を吹くか。

2013年10月20日   

出国203日目。
20カ国目エジプトのアスワンにいます。

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ルクソールから電車で3時間程度、10ポンド(130円くらい)で、アスワンへ。

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ここアスワンに来たのは、スーダン行きのフェリーに乗り込むため。
ってのと、あともうひとつ理由があって。
どん。アブシンベル宮殿。

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アブシンベル宮殿はラムセス2世の時代に作られた岩窟神殿。
ナイル川のダムの建設により水没するかもみたいなピンチを、場所を60m移動することでなんとか危機を免れた、そんなところ。
移動させようってのもすごいけど、その移動方法が、細かく切って運んでまた組み立てるっていうレゴブロック的な発想なんすごい。笑
ちなみに、この大掛かりな移転工事がきっかけになって、ちゃんとこういうのは守っていこうよって世界遺産ができたの、もっとすごい。笑

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うっすら切れ目見える。

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大神殿の前に並んでいるのはラムセス自身の像。
いや、めっちゃでかいし、いっぱいあるし、どんだけ力もってんねんってなって。

神殿の奥にはラムセス2世の像、エジプトの神々の主神であるアメン・ラー神、太陽の神ラー・ホルアクティ神、闇の神プラハ神の4体の像が並んでいて、
いや、神様のなかでもけっこうすごいとこと肩ならべてるって、どんだけ力もってんねんってなって。

さらに年に2回だけラムセス2世が生まれた日と王に即位した日に、神殿の奥の像4体のうち3体に光が当たるように計算されていて、
なんで1体だけ光があたらないかっていうと、プラハ神は闇の神やから、みたいな話があって。
いやなにお洒落なからくりまで差し込んでんねん、どんだけ力もってんねんってなって。

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さすがに気になってどんな人やったんか調べてみると、
111人の息子と69人の娘がいて、
古代エジプト人の平均寿命40歳のときに、90歳まで生きて、
世界で最初に平和条約を結んで、
ミイラの劣化防止措置を受けるためにフランスへ一度運ばれたときにミイラやのにパスポートが発行されて、
しかもその職業欄にはファラオって書かれている、そんな人。

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いや、すごすぎる。笑
その真偽はわからないにしろ、これだけ飛び抜けたすごさを見せつけられると、
どきどきするし、負けてられへんなってなる。

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それはラムセス2世みたいになりたいってことではなくて、
なんていうか、それは無理やろみたいなことを、
どどどどど、と勢いで作り上げていくのって、めっちゃかっこいいと思うねんな。

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ふと、タモリさんの言葉を思い出した。
「若いときはみんな自分のなかに龍を飼っていて、年をとるにつれてそいつがトカゲだって気づくんだよ。」

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20代も終わろうとしてる今。
自分が龍だと思って飼っているそれが、空を舞わないことも、炎を吹かないことも、気づいてはいて。
それでもどこかで、でもなにかあるやろ、みたいな期待感は捨てきれてなくて。
トカゲと認める大人より龍を描いている子供のほうがかっこいいと思ってしまうあたり、僕はまだまだ子供なんやろうけど。

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でもやっぱり、龍やと思っていたいねんな。
自分を騙すっていう逃げ方ではなくて、どちらかというと育てきってやるっていう諦めの悪さに近いねんけど。
どどどどど、と滑走路を走りきってしまえば。
その先は、空を飛ぶか、炎を吹くかしかないと思うねんな。

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うん、龍飼ってたほうがモテそうやし。

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気がつけば全力で自転車をこいでいた。

2013年10月17日   

出国200日目。
20カ国目エジプトのルクソールにいます。

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スーダン行きのフェリーが週に1便しかないよとか、
しかもそのフェリーの乗船率300%くらいだよとか、
スーダンビザ先にとらないとチケット買えないよとか、
でも今週は犠牲祭といってエジプトのゴールデンウィークみたいなもんだよとか、
だからスーダン大使館あいてなくてビザとれないよとか、
いろんな噂を聞きながら。

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どうしようもないことは、どうにかなるタイミングまで待つしかないので、
ゆるりとエジプトを南下することに。で、ルクソール。

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ぶらぶら歩いた1日目と、車でまわった3日目。
その間の2日目は自転車で対岸までびゅびゅんと。

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どうしようもないことを振り切りたい時の僕の行動あるあるねんけど、
気がつけば全力で自転車をこいでいた。

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あれこれ見たり話したり撮ったり。
だんだん暗くなってきたから、そろそろ帰ろうかなと思ったところで、
がくんと自転車が重くなった。この感覚も久しぶりやな、パンク。

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どうしようかなと思いながらとりあえずは自転車を押して歩く。
すこし歩いたところで声をかけられて。

物売りかなにかかなと思ってそのまま笑って通り過ぎようとしたけど。
でもよく考えたら、町まで自転車を押して帰れる距離でもなくて。
助けてもらうしかないなーと、下心満載で、くるりと振り向きあれこれ話す。

結果、すごくいい人で、自転車のタイヤを持ってあちこち走り回ってくれて、ばっちりなおしてくれたうえに、
10ポンドかかったけど、別にお金いらないよ、ルクソール楽しんでね。と。

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帰り道、自転車をこぎながら、
ありがたいな、こうありたいな、と思いながらも、悶々と。
世界一周中の信じること疑うことについて。

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僕は、信じるのが偉い、とか、信じないといけない、とは思っていなくて。
「信じる」に容易に逃げ込むのはやっぱり違うと思うし、
しっかり判断したうえで、それでも最後に逃げ出せるような一歩の余裕を残すくらいじゃないといけないと思っている。

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じゃあ疑いっぱなしでいいのかと聞かれると、それはそれでと言葉につまるねんけど。
疑ってあまり話もせずに通り過ぎることって国によってはよくあるねんけど、
やっぱりどこかで苦しくて、今回みたいに結果疑う必要のなかった、そんな時はさらに心が痛くなる。

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もちろん、白か黒かみたいなそんな単純なことじゃないし、
その向き合い方に良いも悪いもないと思うけど、
でも、なんとなく、仕方ないと思いながら見過ごすのもすこし違うなと思っていて。
かといって、じゃあ僕はこうします、そんな凛とした姿勢を持つことはまだまだできていなくて。

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結局僕は、都合のいい「信じる」を振り回して、きっとこれからも生きていくんやろな、と。
気がつけば全力で自転車をこいでいた。

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ぶっ飛ばしていきます。

2013年10月10日   

出国193日目。
20カ国目エジプトのカイロにいます。

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「さて、いよいよ。」って言葉が好きでよく使ってるねんけど、
その中でも一番のいよいよなんじゃないかな。

しばらくゆるりと過ごしていたのもあって、久しぶりにすごいわくわくしてる。
情勢的には不安定で、すごく迷ったけど、でもやっぱりどうしても譲りたくないなと思った、
そのあと少しして、ああこういう感情久しぶりやなとすこし嬉しくなって。

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どっちでもいいなと思うことがほとんどの毎日の中で、
曲げたくない自分がいることに気づいたなら、もうその背中をどんとおして、乗っかるしかないと思う。

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と、いうわけで。
アフリカ縦断します。

うん、わくわくしかしてない。どきどきしかしてない。
ずっと成し遂げたかった夢、とかそんなんじゃないけど。
でもやっぱりいつかは行こうと思ってたし、
世界一周にでたときに、そのいつかがそう遠くない明日だとは感じていて。

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ようやく。
って言葉が適切かどうかはわからないけど。
アフリカ縦断出発の都市、カイロにつきました。
これから4ヶ月くらいかけて、南アフリカ共和国まで、ぐんぐんと。
未知すぎる。楽しみすぎる。

がらがらのピラミッドをぶらぶらしながら、この先のことを考えていて。
すれ違った観光客は5人くらいで、なんかあれ僕だけ違う時空にきたっけくらいのそこは、
これからの4ヶ月を見据えて、靴ひもを締めなおすにはちょうどいい場所で。

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ふわふわと思い出したり企んだりしながらぶらぶらと歩く。
面白がったり怖がったりしながら、他人事のように自分事を描く。

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とんと、ジャンプして、無重力感を。そんな出発地点。
どんと、着地して、重力感を。そんな出発時間。

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天秤にのせるものはいっぱいあって、
まあでもとりあえずは、駆け出したくなる衝動に素直に、全力疾走。
今はそれでいいんじゃないかなと思っています。

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と、スターティングブロックに足をつけたところで。
うん、やっぱりこの言葉がしっくりくるな。

「さて、いよいよ。」

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ぶっ飛ばしていきます。