飛ぶ。咲く。走る。
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羽を揃えて。

2013年8月25日

出国147日目。
12カ国目エジプトのシャルムエルシェイクにいます。

ダハブでゆるりと過ごしている中で、
シャルムの海もすごいきれいだよ、って噂を聞いて。
エジプトはシャルムの空港outってのもあって、最後の2日だけ移動することに。

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いろんなご縁がここにもあって、
シャルムに住む日本人のアリアさんという方に、2日間まるっと何から何までお世話になって。
これがほんとに何から何まで。

おじゃましまーすと、出会った10分後には3色丼を頂いて、
シャルムのいろいろな海に連れて行ってもらって、
朝昼晩とめちゃめちゃ美味しいご飯をごちそうになったうえに、
食後にはこれまで食べたことのないくらいおいしいブドウや、マンゴーを頂いて。
スペインへのフライトが早朝で、朝4時にアリアさんちを出発したんやけど、
そのときにいなり寿司のお弁当まで作ってもらって。

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ほんとにありがとうございますすぎる。
感謝してもしたりないくらいの感謝で、
もうきっとそういう次元じゃないくらいねんけど。

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ほんとにすごいなと思った。
こういう人になりたいと思った。
そんなことをふんわり伝えたときのアリアさんの言葉がすごく印象的で。

「人に何かを与えることって、できないんじゃないかな、若いうちは。
それは金銭的な余裕がないからとかそういう話ではなくて、
例えば今のあなたが人に何か与えようとしても、なかなか信頼されないと思うの。
それがたとえ善意からくるものでも、どうしても不信感を与えてしまうのよ、今は。
きっとそれが普通にできるようになるにはある程度の年齢が必要で、
だからそれまでは受け取る側でいいんじゃないかしら。」

あー確かにな、って。
歳をとるということの持つ側面はいろいろあるけど、
こういう意味があるなら、それはもうほんとに、しっかりと歳をとっていきたいと思った。

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いろいろなところで恵まれてばかりで救われてばかりで学ばせてもらってばかりで。
ほんとはすぐにでも自らの羽で素敵な織物でも織りだしたいくらいねんけど、その羽すらまだなくて。
なにひとつ恩返しができていないもどかしさに溺れてしまいそうにもなるけど。

アリアさんの言葉には、
「羽がないなら泳いでいなさい。」とシュノーケルを手渡すよな、そんな優しさがあって。
あれまた救われてると思いながらも、お言葉に甘えて焦らずに。

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この海を泳ぎ終わった後、必ず飛んで戻ります。
羽を揃えて、お返しします。

一番重要なのは呼吸をとめないこと。

2013年8月23日

出国145日目。
12カ国目エジプトのダハブにいます。
ここダハブはカイロから南へ600km程のシナイ半島にある小さな町。

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ダイビングで有名で、旅人のあいだでは恋するダハブと呼ばれているくらい、
海がきれいでゆるっとできるよ恋もできるよ、みたいな話を聞いていて。
天国みたいな場所に胸躍らせて到着、
してからあっというまに10日くらい。

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朝日がのぼるくらいまで飲んで、
昼前に出発する友達を見送って、
その後また寝て、昼過ぎくらいにようやく起きて、
夕方くらいまで友達とご飯食べながら今日どうする?みたいな感じですごして、
このまま一日終わるのやばいってなって、
あわててシュノーケルにいったり、町歩きをしたりして、
夜ご飯を作ったり、食べに行ったりしたあとは、
ビール、ワイン、ウイスキーとかを買い出しして、
朝までダハブゲームしたり、飲んだり、しゃべったり。

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5日間と410USDかけてダイビングライセンス(AOW)をとってからは、
こんな感じで、ほんとにだらっとすごす贅沢時間。
これだけだらっとしても、あーミスったなーみたいな後悔は全くなくて。
ほんとに楽しかったし、まだまだだらっとできた。笑

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そんな中、エジプトの情勢が悪化して、アラビア語のテレビ越しにその様子を知って。
なんていうか、現場から600kmの距離にいながらも、
日に日に少なくなる観光客と、アイスの在庫くらいでしか、実感としては感じることができていなくて。

世界一周にでて思うのは、きっとどこにいても見える範囲は同じだということ。
僕が持っているのは、世界に出て強くなるような感受性でも、国境を越える度に広がるような視野でもなく、
手が届く範囲のものに触れながら、目が届く範囲のものを捉えながら、
なんとか感じることが考えることができる、そんくらいの片手サイズの全力疾走で。

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それはもちろん、無力でも万能でもなく、
必死にもがけば進めるし、涼しい顔しては打ち破れなくて。
ゆっくり呼吸を繰り返し、泳ぎ続ける考え続ける、そんな日々。
ダイビングで、一番重要なのは呼吸をとめないことって習った。

うん、ダハブの日々ほんと楽しかったな。
ゆるっと歩いて、棒に当たれば考えて。
潜ったり酔ったり喋ったり星みたり笑ったり。
呼吸をとめるには、楽しすぎる。

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対義語のどちらかひとつ。

2013年8月10日

出国132日目
11カ国目のヨルダンのワディラムにいます。

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死海もペトラもいいけど、ヨルダンの砂漠も楽しいよ、みたいな噂を聞いて。
砂漠好きやけど今回はどっちでもいいかなと思っててんけど、
タイミングよく人数がそろったってのもあって、行くことに。

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出発の景色からどきどきする。

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砂漠を4WDで走って、わーすごーいなんてわいわいしてる間に、
今晩泊まるキャンプサイトに。

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砂漠の夕日は思っていた通りすごく素敵。
でもそれよりもどきどきしたのは、星。

プラネタリウムで働いていた友達と一緒だったこともあって、
満点の星空をみながらいろいろな話を聞く。贅沢。

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星写真の撮り方なんかも教えてもらいながら、明け方までぱしゃぱしゃとはしゃぐ。
きれいきもちいたのしい。

カメラの充電がなくなったところで、毛布を外に運んで、砂漠の上で就寝。
砂漠の余熱を感じながら、吹く風の上には天の川。

ふと、精密板金職人の菅野敬一さんの言葉を思い出した。
「昼間、青い空の向こうには宇宙が広がっていると想像するけど、
山の中で漆黒の闇に包まれていると、自分の皮膚の際まで宇宙がきているのを感じる。
自分と宇宙が一体になったような感覚というか、自分は宇宙の一部なんだとはっきり実感できる。」

見えるということ、信じるということ。
見えないということ、想像するということ。
対義語のどちらかひとつを選択する必要なんてなくて。
どっちもやっぱり、すごいと思うねんな。

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見えないものを見ようとして、見えてるものを見落として、
望遠鏡をのぞくよな午前2時の踏切に、響くラジオの音のような必死さもきっと大切だけど、
見えてるものを大切にして、見えないものに憧れて、
布団にくるまって目を閉じて、砂漠の静寂にも耳をすますよな丁寧さもきっと必要だと思う。

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目を開けるたびにすこしずつ移動している星をみて、動いている自分にようやく気づく。
なんだかすごく安心して、また目を閉じようとしたそのときに、流れる星。

そうか、ペルセウス座流星群か。
なんていうか、乾いているという潤いが、
この砂漠には間違いなくあった。

好きな人が作る好きなもの。

2013年8月8日

出国130日目
11カ国目のヨルダンのペトラにいます。
ペトラ遺跡はインディ・ジョーンズの舞台にもなった世界遺産。

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高くてびっくりして、広くてびっくりした。
入場料が1日券で50JD(7000円くらい)。高い。
朝9時からまわってさらっと見て回るのだけで夕方に。
入場口から30分くらい歩いてようやく遺跡の入り口で、
そこから2時間くらい歩いたところから山登り。広い。

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そんなめっちゃ高くてめっちゃ広いペトラ、これがめっちゃよかった。
見上げても見上げきれないような大きい自然の岩々の中にふと現れる彫刻。

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どきどきする。

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昼の雲一つない青空の中、どこまでも続く遺跡。
大胆で、繊細で。ってきっとこういうこと。

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昼ペトラもよかってんけど、夜ペトラもまた素敵で。
このナイトペトラは月水木曜日限定でやってるみたい。

灯籠が両サイドにずらっと並べられていて、
ひとつひとつのロウソクが静かに揺れる雰囲気が、
その中で、昼みた高い壁の間から見える星空が、すごくよくかった。

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天の川じゃないけれど、天の川のように見える。
星空を切り取って、川にする。
あーこういう川の作り方もあるのかと思いながら気づいたのは、
ナイトペトラの雰囲気のよさ。

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なんていうか、おっきいライトどんっておいてだーって照らしてしまおう、みたいな感じじゃなくて。
灯籠を並べよう、暖かい光になるように中にはライトじゃなくてロウソクをいれよう、
っていうひと手間がそこにはあって。

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これを考えた人は、この場所が、この空気感がすごく好きなんだと思った。
そして僕はやっぱり、好きな人が作る好きなものに、すごく惹かれる。

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もしかしなくても。

2013年8月7日

出国129日目
10カ国目のイスラエルのエルサレムにいます。

朝からエルサレムをぶらりと。
エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教、どの信者にとっても聖地。

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ユダヤ教徒は嘆きの壁の前で聖書を読み、
キリスト教徒はイエスが十字架を背負ってあるいた道を巡礼し、
イスラム教徒がアルアクサー寺院でメッカに向かって祈る。
それが全部旧市街にぎゅぎゅっとある、そんなところ。

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町並みの空気感にそっと緊張感があるのもきっとそういう背景があるからで。
旧市街をわーなんか雰囲気あっていいなーと歩くのも、新市街でわーきれーとはしゃぐのも、楽しい。

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昼過ぎに宿に戻り、イブラヒムおじいさんに誘ってもらい、平和会議なるものへ。
「これってなんの集まりですか?」の問いに、
「いろいろな宗教の人がいて、そのいろいろな宗教の人がいっぱい集まって平和について話す会議だよ」と。
なにそのめっちゃ平和な会議。

すこし広い家についてみんなでわいわい話して、あれ会議ってこんな感じなんや、と思ったくらいで、
「屋上にご飯があるからみんなで食べよう!」の声が。
え?屋上?みたいなキョロキョロ感と共に言われるがままに屋上へ。

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そのあとは屋上で夕日見てご飯食べて、ゆるっとしたホームパーティーの様な空気の中、
円になって座って、何人かがが平和についてしゃべって(アラビア語がまったくわからないからここは僕の大予想)、
楽器とかひいて、最後はみんなで手をつないで歌って。

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すごくすごくすごく、感動した。
僕は特に宗教みたいなものはないから、それがどのくらいすごいことかは想像できないんだけど、
それでも、そのとき僕がすごい空間にいることができたのは間違いなかった。
それくらい優しい空気で、綺麗な色合いの雰囲気で、それくらい美味しいご飯やった。

平和すごいやん。
きっとみんな平和をもとめていて。

昨日パレスチナの分離壁をみたときは、
もうこれって、恐ろしく強大な何か、それこそ神様的な力がないとどうにもならなくて、
今の僕にできることなんてないのかな、なんて気がしてたけど、
もしかして、そんなことないんじゃないかなって思った。

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みんなでおいしいご飯を食べて手をつないで歌う。
もしかして、こういうことでどうにかなっちゃうんじゃないかななんて。

パーティーの最後にでてきたスイカを頬張りながら、
つよくつよくつよく、思った。

うん。ほんと。
みんなでおいしいご飯を食べて手をつないで歌う。
もしかしなくても、こういうことでどうにかしてやりたい。

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靴でもネクタイでもクワガタでもサイでもなく。

2013年8月6日

出国128日目
10カ国目のイスラエルのエルサレムにいます。

バンクシーという芸術家がいるらしくて。
社会風刺的グラフィティアート、ストリートアートを世界各地にゲリラ的に描くという手法を取る、
ロンドンを中心に活動する覆面芸術家。みたい。
そのバンクシーの作品があるベツレヘムという町までここエルサレムからバスで1時間くらいという噂を聞いて、
覆面芸術家って、なにそれモテそう。くらいの気持ちでむかうことに。

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手榴弾ではなく花束を投げる兵士。

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兵士の持ち物検査をする少女。

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パレスチナの分離壁に書かれているのは、壁を倒すクワガタ。

すごい。

ちなみにこのクワガタの絵が描かれている分離壁は、
イスラエルがパレスチナの自爆テロを防ぐためにみたいな理由で建設してるねんけど、
国際司法裁判所はこの壁の建設をパレスチナ人への不当な差別にあたるので違法としていて、
国連総会でも建設に対する非難決議がなされている、そういう壁。

実際のところ、この壁は、、、
みたいな話をするにはあまりにも付け焼き刃すぎる知識しかないし、
バンクシーの絵を目的に来た先で、その存在を知ったくらいの僕が言うのもあれやねんけど、
実際に分離壁をみて思ったのは、
うん、なんとかこの壁なくせへんかな。

あまりにも圧倒的で、無表情で、冷たさすら感じない、
なんなら尊厳という錯覚すら見てしまいそうになる。
壁だから当たり前なんだけど、向こう側が、見えない。

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いろいろな声がそこには書かれていて。

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突進して壁を壊すサイ。

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FRAGILE。ほんとにそうであればいい。

壁沿いを歩きながら、ふと、安部公房の「壁」思い出した。

名前をなくした「ぼく」が事件に巻き込まれ、
名刺が「ぼく」のふりをして仕事をし、靴やネクタイが動き出し、恋に落ちた相手はよく見たらマネキンの人形。
最後「ぼく」は果てしなく成長していく壁となっていく。
ほとんど覚えてないけどそんなストーリー。
人間と物質の入れ替わりを通して、実態とは肩書きとはそんな問いを投げかけているようなそんな本。なのかな。

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パレスチナの分離壁が「ぼく」であれば、彼には何が見えているのだろうか。
自らの存在が裁判にかけられ、自らの存在を否定するようなメッセージを描かれ、観光客にカメラを向けられ、、
怒りを反感を憎しみを受け止めながら、それでもなお無表情で佇めるのは、やはり壁が壁でしかないからなのだろうか。

安部公房はあとがきで
「壁がいかに人間を絶望させるかというより、壁がいかに人間の精神のよき運動となることを示すのが目的でした。」
そんなことを書いている。

この壁の向こう側から花束が投げ込まれるような、この壁が倒されるような壊されるような、
そんな人間の精神のよき運動となるような未来を語るのは、
靴でもネクタイでもクワガタでもサイでもなく、僕たち人間でしかない。

僕はこの壁の向こう側を、見たい。

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「Welcome!!」と「Eat!!」

2013年8月5日

出国127日目
10カ国目のイスラエルのエルサレムにいます。

イスラエルは地中海に面した中東の国で、、えっと、、、
と、ここでキーボードを打つ手がとまるのは知っていて。

いつも通り、ここでようやく検索する、宿にある地球の歩き方を読む。
いろんな宗教、民族がだーっていて、分離壁等のパレスチナ問題を抱えてるところ。
そうかそうか、パスポートにイスラエルの出入国スタンプがあるだけで入国拒否をする国があるくらいやもんな。
物価もとんでもなく高くて、コーラの350ml缶が200-300円くらいする。

今回、そんなイスラエルに来たのは、
イブラヒムおじいさんという人に会いたかったから。

イブラヒムおじいさんは、エルサレムに家があって、
その家には誰でも泊まってよくてご飯もめっちゃででてきて、
宿っていう形式ではなくて、宿泊者の寄付によって運営されてるみたいなところのご主人。
僕も噂でゆるっと知ってるだけねんけど。

口癖は「Welcome!!」と「Eat!!」、めっちゃお茶目で優しくてすごい人。
聞けば聞くほどに魅力的で。気になってしょうがなくて。

家の場所はオリーブの丘にある、以外の情報はなかったけど、
そのに向かうバスに乗れば、もうみんながその家を知っている。
そんなところ、そんな人。

と、いうわけで、訪問することに。
ヨルダンを朝に出て昼過ぎには着いた。
イブラヒムおじいさん、どん。

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笑顔素敵すぎるし、面白いし、すごい。
噂通り、「Welcome!!」と「Eat!!」の連発。素敵すぎる。

「一番いけないのは、お腹が空いていることと、 一人でいることだから。」
そんな映画サマーウォーズを思い起こさせるような、振る舞い、もてなし。

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そら人も集まるわ。
旅行者だけじゃなく、いろんな人がこの家には集まって。
町をあるけば、イブラヒムおじいさんはみんなに声をかけて、声をかけられて。

あれ、この国ってこんなとこなんやっけ?本で読んだのと違う、検索したのと違う。そんな気持ちになる。
もちろん僕が見たのはほんの超一側面だけだけど、
そういう側面があるということは、検索窓に「イスラエル」を入力するだけではでてこなくて。

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ふと、小学校の時の道徳の授業を思い出した。
先生が黒板を4つにわけて、世の中の物事は4つにわけれますよ、みたいな話をはじめて。
授業中に寝るという選択肢を知らなかった小学校3年生の僕は、ふんふんと聞いてたんやけど。

自分もみんなも知っていること。
みんなは知っているけど自分は知らないこと。
自分は知っているけどみんなは知らないこと。
自分もみんなも知らないこと。
この4つです、と、チョークを走らせて。

なんかずるいなーと思いながら、
でもなんとなく、すごいことを聞いた気がしてどきどきした。

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今僕はいろいろな国をまわっていて。
いろいろな国で見たり聞いたりしながら、読んだり調べたりしたことを確認したり違和感を感じたりしている。
この国は〇〇です。
そんなふうに句点一つで表すことができるような国なんて歴史なんて人なんてあるわけなくて。
調べたり聞いたりした世界に、自分の目で見た世界を重ね塗る。
もちろん、それでもまだまだ足りないんだけれど。

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なんていうか。
多くの文章を読みながら、一冊の本を読み進める。
文字を追いながらも、行間に目を凝らす。
そんな日々なんだろうな、なんて思いながらぼんやりとソファに腰をおろす。

そんなとき、声がかかる。
振り返るとイブラヒムおじいさん。

「Welcome!!Eat!!」
この言葉でこんなにも幸せな気持ちになることを、
今の僕はもう知っている。

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他人が生きられないくらいの。

2013年8月3日

出国125日目
9カ国目ヨルダンのアンマンにいます。

ヨルダンといえば、やっぱり死海。
というわけで、宿の友達とタクシーシェアでゆくことに。
ちなみに有料のビーチ(16D=2000円くらい)のすぐ横に無料のビーチがあるという不思議なつくり。
もちろん無料ビーチに。

どん。

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死海はヨルダンとイスラエルにはさまれた塩湖で、
一般的な海水の塩分濃度が約3%なのに対して、死海の湖水は約30%の濃度。濃い。めっちゃ濃い。
だから魚も生息できなくて、それが死海という名前の由来みたい。

で、浮力の大きさはその物体が押しのけた液体の重さに一致することが知られていて、
いっぱい塩分が含まれていると、その分重くなるから、浮力も大きくなって、
だから、塩がめっちゃとけてる死海は、浮力もすごいよと。
アルキメデスの法則なつかし。

いろんな感情の含まれる思い出の方がその時の自分が浮かびあがりやすいのと同じ。
なんてきっと違うのは知っているけど。

めっちゃ浮くめっちゃ浮くとは聞いてるけどほんとに浮くのかなーと思っててんけど。

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めっちゃ浮いた。
溺れようにも溺れれへんくらい浮いた。
あれ浮き輪つけてたっけくらい浮いた。
「自由な服装で参加してください」に従って私服でいった企業説明会くらい浮いた。

どんだけ塩っぱいんやろと思って少しなめてみると、塩っぱいどころか苦くて。というか痛くて。

どんな感情もそれが含まれすぎると苦い思い出につながって、思い出すだけで胸の奥が痛くなるのと同じ。
なんてきっと違うのは知っているけど。

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でも、なんていうか。
痛いくらいに苦いくらいに、あれこれあった思い出に浮かぶその時の自分は
確かにもがいているけれど、溺れることは決してなくて。
周りを気にして感情薄めて海底にそっと自分を沈めるより、よっぽど生きてると思う。
他人が生きられないくらいの感情にあふれた自分の海に浮かんで生きるって素敵な気がする。

死海に浮かびながら、すごく生きてる気がして、ふと思った。
青い空に白い雲が映えるのをみて、そういうことかと思った。

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期末テストの1日目が終わった時みたいな。

2013年8月2日

出国124日目
9カ国目ヨルダンのアンマンにいます。

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インドの最後はばたばたで。
デリーについてPCがないことに気づく絶望や
念のため前の町のレストランに電話で確認してみる挑戦や
なんとそのまま置いてあるという奇跡や
でも片道10時間の道のり往復すると飛行機に間に合わないという葛藤や
デリーまでなんとか届けてくれないですかというダメ元の依頼や
飛行機の時間ギリギリになんとか持ってきてもらえた幸運や
そんな二文字が行ったり来たり、右往左往でどっきどきのインド最終日。
いろいろよかった、ほんまによかった、ただただ感謝。

で、深夜の飛行機でびゅびゅんと中東のヨルダンへ。
ヨルダンは正式名称ヨルダン・ハシェミット王国で国土の80%は砂漠地帯に属するイスラムの国。
死海とかペトラ遺跡で有名なところ。

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快晴、気持ちいい。
とりあえずおなか減ったなー、町ぶらぶらしながら何か食べよー。
と、思ったら。
全然何も売ってなくて、あれって思ったくらいで、思い出すラマダン。

ヨルダンのアンマンでラマダン。
しりとり何回終わらすねんくらいの感じやし、おなか減ったしで、さんざんやけど、
でもまあしょうがないから、そのまま町をぶらぶら。

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ラマダンがこんなにしっかり守られてるところははじめてかも。

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ひとつひとつの家がレゴみたいで、いい。
そのまま丘を登るとアンマン城跡。ここがまた素敵で。

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涼しくて柔らかい風と、アンマン市内を見渡せる展望と。
ラマダン中ということで人もほとんどいなくて。そのまま夕日まで。

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夕日が沈んだということは。
ということで、町へもどって、ごはん。美味しい。
みんな美味しそうで、楽しい。ラマダン明けのこの時間すごくいい。

みんなが美味しそうにご飯を食べてる感じとか、
お腹いっぱいになって力が有り余ってわいわい騒いでる感じとか、
でもきっとまた明日もお腹減るんやろなーってみんな頭の片隅にはある感じとか。

期末テストの1日目が終わった時みたいな、
みんなが席を行ったり来たりして今日のこととか明日のこととかを話す、
安堵と焦りが共存するよな、そんな時間。すごくいい。

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その安堵と焦りの間で、まーとりあえずと、
明日の朝ご飯にパンとツナ缶を買って帰りながら、ふと思うのは。

いや、しりとり何回終わらすねん。

言葉をかりるなら。

2013年7月31日

出国122日目
8カ国目インドのプシュカルにいます。

プシュカルは小さな森の中にある湖を囲んでできた町。
ヒンドゥー教の聖地なので湖にはたくさんのガートがあって。
静かでゆっくりした、それでいてインドの匂いがそっと漂うそんなところ。
目の前を牛が、亀が、リスが、横切る町ってそんなにないと思う。笑

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雨期ってのもあって、滞在中はからっと晴れた日みたいなのはなかったけど、
その曇り空ですらうまくとりこむこの町の空気が僕は好き。

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この町が、インド最後の町。
人も車もいっぱいでクラクションの鳴り止まない人間らしさのあふれるコルカタも、
七夕に願いを込めた短冊をガンガーに流したバラナシも、
これまでの蒸し暑さから一転、涼しい風の通り抜けるラダック地方のレーも、
湖に浮かぶ500ものハウスボートが少し物悲しく見えたシュリナガルも、
湖を囲むガートが特徴の静かで小さな町、ここプシュカルも、
全部楽しかったな。すごい。

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インドにはきっとまた来ると思う。
危なくて汚くてカレーばっかりやけど、それ以上に、面白くて楽しくて魅力的なところ。
きっと言葉を並べて説明できる魅力じゃなくて、
飛び込んで潜ってぱしゃぱしゃ水かけあって、なにこれ楽しい!ってなるそんなところ。

人生観が変わるよ、なんて、そんなことは僕の場合は全然なかったけど、
え?!ほんまに?!みたいな局面はたくさんあって。
それを分析してどうのこうの、みたいなことを言い出せばきりがなくて、はじめはすごくもやもやしていたけど。
でもそれは、プールサイドからの視点でしかなくて。
いつしかのグルメレポーターの言葉をかりるなら「美味しいと食べ慣れているは違うんですよ。」になるのかなと思った。
住み慣れた世界と比べてる暇があれば、その新しい世界にもうどっぷり飛び込んでしまえばいい。

きっとそこで必要な姿勢は、
スナフキンの言葉をかりるなら「この目で見たものはどんなに馬鹿げたものでも信じるよ。」になるし、
さらに笑福亭鶴瓶の言葉をかりるなら「とりあえず、笑とけ笑とけ。」になるんじゃないかな。
飛び込んで信じて笑って、そうやって楽しんで、考えればいい。
こんなにも感情が動かされるこの国は、やっぱり素敵やと思うねんな。

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さていよいよインドもほんとに最後。
今日の夜行バスでデリーにもどって、明日の深夜の飛行機でヨルダンへ。
ほんとはまだまだインドにいたいけど。ここはぐっと踏み込むことに。

「人生とはおもしろいものです。何か一つを手放したら、それよりずっといいものがやってくるものです。」
サミュエル・ジョンソンの言葉をかりるなら、そんなわくわく感。